今から申し上げることは、横浜市内のある県立高校の現実であります。それがどこかを明かすことは、すなわち生徒募集を妨げることになりますので、あえて高校名は伏せることにします。
遠くから見た校舎の外壁は大部分が黒ずんでおり、同行していた新聞記者は「まるで廃墟のようだ。」と息をのんでおりました。近づいてみると、その外壁のところどころでモルタルが剥落し、中のコンクリートまで侵食されている箇所も少なくありません。コンクリートの固まりが崩落するため、ロープが張られて立入禁止となっている所もありました。
校舎の中に入ると、現在、保護者の方々がボランティアでペンキぬりの作業を進めていらっしゃるということで、廊下等の一部はきれいになっておりましたが、ところどころ雨漏りの激しい所があり、そこにはバケツが幾つも置かれ、やはり立入禁止のロープが張られているありさまでした。天井は、至るところボードがはがれかけています。7月23日に関東地方を襲った地震で、壁に幾つものひび割れが生じています。
トイレの汚水管が腐食し、階下のトイレで用を足していた生徒に汚物が滴り落ちてきたという箇所は、さすがに修理されていましたが、それでも、一部の女子トイレでは2平米ほどの天井ボードが丸ごと外れておりました。
会議室の床の真ん中に大きなひび割れがあり、床面に段差が生じています。また、屋外のテニスコートの真ん中にも断層による段差が走っており、練習中の生徒がつまずくなど危険な状態です。
体育館や武道場は、工場に使われているようなスレート状の外壁板、これもカビと汚れで全面的に黒ずんでいます。また、窓サッシの不良により雨が流れ込み、内側のベニヤ壁が浮いたりはがれたりしています。
改めて申し上げますが、これはどこか別の国の学校でもなければ既に使われなくなった校舎でもありません。れっきとした現役の神奈川県立の高等学校であります。
この学校について教育委員会は、耐震診断が終了していない、高校改革の後期対象校ではないとの理由で、雨漏りや外壁の崩落防止といった安全対策以外、本格的な老朽化対策を実施する計画はないとしています。
しかし、本当にそれでよいのでしょうか。
既に、この老朽ぶりを敬遠して女子の入学人数が減っているのです。昭和61年度に全校生徒のおよそ半分を占めていた女子生徒は、年々減り続け、平成17年度では約3割にすぎません。この3年間を見ても、年ごとに女子の入学者数が約10人ずつ減り続けているのです。男女共学も、まさに風前のともしびであります。
このように、建物が老朽化し生徒が敬遠する学校が、今後、ふえていくとすれば、神奈川の学校教育は、まさにハードから崩壊すると言っても過言ではありません。
そこで、教育長に伺います。
この学校が建設されたのは昭和49年、1974年で、31年が経過しておりますが、普通、これほどまで老朽化するとは私には考えられません。果たして建設から今日までどのような計画をもって保守や修繕を行ってきたのでしょうか。また、今後、こうした老朽化した学校にどのような手を打っていかれるのか、教育長のご所見をお伺いいたします。
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