6.知事の政治姿勢について


 <質疑> 環境への投資について
 松沢知事は、電気自動車に対し最も熱心に先行投資を行なっている知事だと思うが、肝心なのは、その投資が神奈川県民にどのような利益をもたらすかということである。
 2013年に量産を目指すEVの開発に34の企業、団体が参加するが、魅力のあるものには、マーケットが反応する。獲得するメリットが想定でき、それを株主に説明できるからこその投資なのである。
 また、県主導第三セクターに対する財政的支援の見直しの中で削減率が2.9%と最も低いのが財団法人地球環境戦略研究機関、IGESである。毎年かなりの財政支援を受けている第三セクターでありながら、事業活動などが県行政とどう関わっているかが見えにくい。
 そこで、現在行なっているEVに対する投資によって、神奈川県民は、他の県民にはない、どのような利益を得ることが出来ると考えているのか、知事の所見を伺いたい。
 また、今後、神奈川県の環境対策や温暖化対策を進めていく上で、IGESの研究成果を地元企業の活動支援などに積極的に活かし、県行政との関わりを見えるように示していくべきと考えるが、併せて所見を伺いたい。

 <答弁> 松沢知事
 次に、環境への投資について2点お尋ねがございました。
 まず、電気自動車、EVへの投資による県民の利益ですが、人類共通の喫緊の課題である温暖化問題に対しては、EVはCO2排出削減の「切り札」となりますし、排出ガスを全く出さないことから、窒素酸化物が削減され、大気環境の改善にも効果があります。
 本県には、EVに関連する自動車産業やエレクトロニクス産業等が集積しており、さらに、インベスト神奈川により、リチウムイオン電池等のEV関連産業や太陽光発電などの新エネルギー産業の誘致が進み、集積が加速しております。
 これらの産業と連携し、EVの普及に取り組むことにより、環境技術の革新と産業振興が結びつき、本県のポテンシャルがさらに高まり、県民の利益につながるものと考えております。
こうした神奈川の「先進力」と「協働力」による、脱石油エネルギーを目指す「神奈川モデル」を全国に発信し、世界をリードしていくことが、多くの県民の誇りにもなると信じております。

 次に、財団法人地球環境戦略研究機関、IGES (アイジェス)についてでありますが、本県がIGESを誘致したのは、環境分野における国際貢献を目指すとともに、研究成果を自治体や民間企業等にフィードバックすることを目的としておりました。
 IGESは国際的研究機関として、アジア太平洋地域の国々が抱える様々な環境問題に即して、「気候政策プロジェクト」をはじめとする課題別のプロジェクトを積極的に展開し、実効性のある政策手段を提案するなど多くの実績をあげてまいりました。
 また、研究成果のフィードバックという点では、地球環境セミナーや国際フォーラムを開催して、地球温暖化問題の動向や対策等を、県民、企業、自治体の職員などに広く周知しているほか、県が主催する会議や県内の大学に、研究員を講師として派遣していただくなど、連携した取組みも行っております。
 今後は、県が実施する、「大規模事業者と中小規模事業者の連携によるCO2削減のモデル事業」をサポートしていただくなど、企業の温暖化対策を支援するために、さらに連携を強化してまいります。

 <要望>
 今後EVマーケットが加速的に広がることを踏まえ、県内の関連産業への波及効果を明らかにするよう努めてほしい。

 <質疑> 知事の退職手当について
 一般県民の方は、知事の退職金が4年で4000万円と聞いて、一様に驚きます。知事には、この一般県民の感覚、一般県民がこのことを知ったらどう思うか、ということを大切にしていただきたい。退職金は、年単位の短期のインセンティブとはならないこと、支給に不透明感を持たれやすいことなどのデメリットがあります。民間企業でも、役員報酬等の退職金偏重を改めるところが増えています。
 県民から見てわかりやすい、県民に開かれた県政を、知事自らも実践し、「県民と協働する県政」を実現するためにも、是非、この退職金偏重の給与体系の是正に取り組んでいただきたいと考えます。
 そこで知事に伺います。
 22年度予算のキャッチフレーズ、「先進と協働」の気概を持って、一般県民の感覚からかけ離れた高額の退職金を減額または廃止するよう努力をしていただきたいと考えますが、知事の所見を伺います。

 <答弁> 松沢知事
 最後に、知事の退職手当についてのお尋ねがございました。
 知事の退職手当の算出方式は、条例で定められており、その水準については、有識者や県民代表からなる特別職報酬等審議会の意見を聞いて決定することとしております。
 その意見といたしましては、全国的に見て、その額や支給率からしても、決して高くなく妥当である。任期の4年間の給与総額と退職手当を合わせたトータルの水準で、民間企業の役員と比較しても高いとは言えない、等々でございました。
 さらに、現在、厳しい財政状況を踏まえ、毎月の給料の20%を削減しており、私の2期目の4年間で約1,000万円、退職手当に換算すると約25%に相当する削減を行っております。
 このようなことから、私としては、現時点では、退職手当を減額あるいは廃止する考えはございません。
 私からの答弁は、以上です。

 <再質問>
 知事の退職手当について、今、知事から大変強いご決意をいただきましたけれども、私、相当丁寧にご説明したつもりなのですけれど、何か真意を理解していただいてないような気がいたします。
 知事は昨年末、記者会見でご自分は年収の20%カットしているんだというふうにおっしゃいましたけれども、その時に、議員は減額率が低いよと、これは特別職報酬等審議会の言葉を借りてのことだと思いますけれども、この様におっしゃいました。
 でも、退職金を年収に振り分けていった時、再計算をすると、減額率が約10%になると思います。
 これは、私が申し上げた、県民から見てわかりにくいということの一例だと思うのです。
 知事がおっしゃるように、全国と比べてどうということを、私は申し上げているのではありません。神奈川だけの問題だとは思っていません。全国の知事さんとか政令市長さんすべてに渡って共通の課題だと思うんですね。
 だからこそ知事には、多選禁止条例の時に示されたようなリーダーシップを発揮していただきたい。この一年間、残る1年間ですけれども、この1年間で、この問題についてしっかり取り組んでいただいて、出来れば、次に知事がお出になるのだとすれば、次の選挙の時のマニフェストにいれていただくぐらいのつもりで、この問題、退職金が異常に高くなるといった給与体系の問題の是正に取り組んでいただきたいというふうに思いますが、知事のご所見を改めて伺いたいと思います。

 <再答弁> 松沢知事
 最後に、私の退職金に対する考え方の再質問もございました。
 まず、退職金偏重の給与体系を見直すべきということでありますが、私は、給与も退職金も、当然ですが、すべて情報公開して、いくらもらっているのかというのを県民の皆さんに知らせる、これが第一だと思うのですね。
 給与と退職金のバランス等については、様々な考え方があります。ですから、議員の考え方も考え方、私の考え方はそれとは異なるわけですね。ですから、自分の考え方はすべて正しくて、それに従わないのはおかしいというのは、ちょっと私は言い過ぎかなというふうに感じております。
 私の基本的な考え方は、報酬等審議会、これは各団体の代表や専門(学識の)委員の皆さんが入って、そこで特別職の給与体系全体を、例えば、私と私以外の特別職、あるいは議員の皆さん、あるいは他県の皆さんとのバランス。こういうことをしっかりと検討していただいて、県民の目線でアドバイスをいただいているわけですね。
 それに従って、きっちりと退職金、あるいは給与体系も考えている、条例化してそれを進めているということでありますので、そういう意味において、この報酬等審議会の答申を尊重してやっていくということが、私の考えでありますから、これは間違っているとは思っておりません。
 私の答弁は、以上でございます。

 <再々質問>
 退職金の問題。いろいろな考え方があると。給与と退職金、どういう配分がいいか、いろいろな考え方があるのだから、自分の考え方を押し付けるなと、知事は私に対しておっしゃったように思います。
 であれば、知事ご自身は、報酬等審議会の考え方うんぬんということではなくて、いろいろな考え方があるとおっしゃるのであれば、知事はどういうバランスがいいとお考えなのか。
 また、もうひとつ。県民の意見を尊重してとおっしゃいますけれども、私が申し上げたように、私の聞くところでは、やはり、4年で4,000万というのはちょっとないだろう、という意見の方が多いと思います。知事がどういう方々に話を聞いているのか分からないけれども。
 そういう意味で、知事ご自身、報酬等審議会ではありません、知事ご自身が、どういう形が自分は望ましいと思っているのか、それをお答えいただきたいと思います。

 <再々答弁> 松沢知事
 小野寺議員の再質問にお答えいたします。
 私は、知事の退職金あるいは給与、そのバランスというのは、やはり、他の特別職との関係も出てきます。それから、知事と議員と言う特別職のバランスも出てきます。従って、自分自身の考えを押し付けるよりも、きちんと(団体の)代表者の皆さんの意見を総合的に判断して、それに従って決めていくことが望ましいと思っています。
 私は、今のバランスでいいのではないかと考えております。

 <要望>
 今、ある意味で知事からはっきりと、今のバランスでいいという結論をいただきました。今後、それをベースに、また、さまざま議論をさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 さまざま、やりとりをさせていただきましたが、今後、常任委員会等でしっかりと、また細かいところは詰めていきたいと思います。