3.教育問題について

 <質疑>
 「志」と学習意欲には密接な関係がある。「自分はこういうことをして社会の役に立ちたい」という「志」を、すべての子どもたちが持ち続けられるような、そういう教育こそ神奈川の公教育に求められている。
 「かながわ教育ビジョン」を見ると、まさしく「志」を育む教育を目指していると思われるが、その内容は抽象的で、どのように「志」を育む教育を推進していくのかという具体像が分かりにくい。
 そこで、将来の神奈川を担う人づくり、人や社会に尽くすために自らを向上させようとする「志」、すなわち大志というものを育む教育を、具体的にどのように進めていくのか、所見を伺いたい

 <答弁> 教育長
 教育関係について、お答えいたします。
 大志をはぐくむ教育について、お尋ねがございました。
子どもたちに夢や希望を持たせ、その実現に向けて努力することの大切さを教え、一人ひとりの能力や可能性を引き出すことが、学校教育においては、大変重要であると考えております。
 こうした教育活動を効果的に行うためには、単に知識だけではなく、働く大人の姿を間近に見て、将来の夢をはぐくむことや、働くことの意義、社会に貢献することの大切さなどについて学ぶことが必要であり、これまでも地域や企業等のご協力をいただきながら、そうした学習の機会の充実を図ってまいりました。
 具体的な取組みの例として、多くの小・中学校では、子どもたちが、老人ホームへの訪問や、地元商店街・企業における職場体験活動などをとおして、人に役立つことの大切さを実感するとともに、「地域の暮らしや仕事への関心が高まった」、「将来の夢がはっきり見えてきた」といった感想を聞いております。
 また、県立高校でも、インターンシップをはじめとした同様の取組みを進めており、平成23年度からは、積極的に社会参加するための能力と態度を育成する実践的な教育である「シチズンシップ教育」を全校で推進することとしております。
 さらに本県においては、かながわアスリートネットワークを構成しているトップアスリートや、文化・芸術分野などで活躍されている方々、地域で様々な社会貢献活動に取り組んでおられる方々が、たくさんおられます。
 県教育委員会としては、学校教育における取組みに加えて、こうした方々のご協力も得ながら、スポーツの指導や、文化・芸術活動に触れる機会の提供、また、社会貢献活動に関する講話などを通じて、心身ともに健康で、社会のために役立ちたいという志を持った人材の育成に努めてまいります。
 以上でございます。

 <再質問>
 教育長に一つお伺いします。
 先ほどの志をはぐくむ教育というところで、私は永瀬さんという方の「学んだ知識の量と志の高さは比例する」という言葉を引用して質問させていただきました。学習意欲が大変に高い子ども、また学力の高い子どもがいても、公立の学校というのは、できるだけ取りこぼしのないように平準化というか、全ての子どもたちに一様に均一な教育を提供するのが使命だと思うが、悪く言えば平均点主義でもあります。
 そのような学力の高い子ども、意欲の高い子どもに対して、その子どもに合わせた学びの質と量の供給が、公立学校の教育の中でどこまで可能だと教育長ご自身が思っているのか、お尋ねします。

 <再答弁> 教育長
 再質問にお答えいたします。
 学んだ知識の量と志の高さは比例する、まさにそのとおりだと思います。深く学ぶことによって、さらに高い志をもつようになります。また裏を返して言えば、高い志をもち、夢や高い希望、目標をもつことが、その子に新たな学びをおこすことになり、これは両方から好循環する内容になると思います。
 先ほど、答弁の中で、芸術家あるいはスポーツの方々のお話をさせていただきました。素晴らしい方々の姿を見ることによって、地域で働く方々も含めて、子どもたちがしっかりとした目標をもち、そのようなものに向かってやろうとする志をもつことが、逆に学ぶ広がりをもたせることになると思います。
 これは、公教育だけに限らず、教育全般の問題だと思います。当然、公教育の中でも、しっかりとした夢をもたせ、志をもたせるためには確かな学力が必要であり、それが循環しながら子どもたちは成長していくものと考えておりますので、そのような視点で、公教育に取り組んで参りたいと思っております。
 以上でございます。