さまざまな議論のある地球温暖化問題ですが、二酸化炭素の主要排出原因となっている石炭、石油など化石燃料に依存した文明から、化石燃料に頼らない文明への転換を図っていくべきであるということについては、ほぼ異論はないと考えています。
化石燃料はいずれ枯渇します。枯渇したとき、否、枯渇が現実味を帯びてきたときの混乱は、現在の原油高の比ではないでしょう。経済的に弱い国々、また、先進国においても貧困層にエネルギーが回らなくなります。現代社会においては、工業や流通業はもちろんのこと、農業や漁業も化石燃料、とくに石油なくしては成り立ちません。化石燃料が枯渇すれば、地球温暖化問題も解決に向かっていきますが、温暖化とは比べ物にならない、何十億人という人々の生存が危うくなります。
したがって、エネルギーの安全保障という観点からも、代替エネルギーの開発・普及は最重要課題ですが、現状はどうでしょうか。EU、とくにドイツやデンマークでは太陽光発電をはじめとする自然エネルギーが電力需要の15パーセントから20パーセントを占めており、補完的 エネルギーというより基幹エネルギーとしてのポジションを獲得しつつあります。
日本政府は、太陽光発電世界一の座を奪還するため、導入量を2020年までに現状の10倍、2030年には40倍に引き上げることを目標として掲げました。神奈川県でも「クールネッサンス宣言」リーディング・プロジェクト関連事業として、「県庁エコ化プロジェクト」や「県有施設エコ化プロジェクト」に太陽光発電設備導入促進費を組み込み「率先導入」を謳っていますが、「率先」というには少々遅すぎた感が否めません。しかし、同関連事業のなかには「太陽光発電普及拡大プロジェクト」の調査研究費も計上されています。県がもし、太陽光発電こそ時代を画する技術であるという確信を持っているのなら、ぜひ、1人でも多くの県民が導入したくなるような制度を考えてもらいたいと思います。また、県の温暖化対策事業には、国が特に重要な温暖化対策技術と位置づけている家庭用ヒートポンプの普及が見当たりません。
そこで知事に伺います。
温暖化対策のみならず、エネルギーの安全保障という視点からも太陽光発電などの自然エネルギーやヒートポンプなどの高効率の省エネルギー機器の利用拡大は不可欠と考えますが、県は今後どのようにこれらの利用拡大を図ろうと考えているのか、知事の所見を聞かせてください。
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