2.地産地消について(1)

<質疑>
 各種世論調査では、圧倒的多数の都市住民が身近な農地を残してほしいと考えており、また、近年、食の安全をめぐる問題がクローズアップされ、生産者の顔の見える農産物、安心・安全な地元の食材を求める声は年々大きくなっております。
 平成13年度県民ニーズ調査によると、地元でとれた新鮮な野菜や魚が食べたいという回答が約80%を占め、平成15年度県政モニター課題意見でも、神奈川県農業に期待する役割として、「安全な食料の供給」が85.2%と他の意見を圧倒しています。
 そうした世論や、県人口の半分以上を占める政令市住民のニーズに神奈川の農業はどうこたえていくのかという観点から、幾つかお尋ねをいたします。
 まず、地産地消について伺います。
 地産地消という言葉から私がイメージするのは、毎日の食卓に当たり前のようにして地場野菜などの農林水産物が載るという光景です。近年では大型の直売所もふえて、毎日の食材のほとんどを調達できるのではと思うほどです。しかし、横浜や川崎で展開されている直売は、規模が小さかったり開く日が限られていたりで、たくさんの市民が毎日の食生活の根幹をゆだねられるものではありません。
 キャベツやホウレンソウ、ブロッコリーなどは横浜市でもかなりの量が生産されており、せっかくなら地場産のものをという思いはあります。そもそも、消費者にとって「地産」とは、どのあたりでとれるものまでが地産で、生産・流通側にとって「地消」とは、どのあたりの人に食べてもらうまでが地消なのかあいまいです。しかし、少なくとも県としては、県内で生産される農産物を県内各地、特に大消費地である横浜や川崎で消費するという視野で地産地消をとらえるべきではないかと考えています。



 そこで、知事にお伺いをいたします。

 地産地消を促進する上で、直売所の役割は大変重要であると承知をしておりますが、県としては、大都市の住民がもっと地場産品を食べられるよう、例えば、湘南地域でとれた野菜を横浜市民の食卓に乗せるというスケールで地産地消を実現するために、流通システムをどのように構築していくのか、知事のご所見をお伺いいたします。


<答弁>
 県内で生産される農産物を、横浜市や川崎市を初め県内各地で消費することを考えますと、本県の農作物の生産量は、消費量に比べて非常に少なく、より一層の生産拡大を進めないと、県域全体をとらえた地産地消の実現は難しい状況にございます。
 このため、生産量をふやすための産地対策として、農業技術センターによる、作物の栽培時期や品種の検討などの技術指導、育苗施設などの共同利用施設整備に対する支援などを行っておりますが、各地域における生産体制づくりの総合的な支援策を検討していきたいと考えております。
 次に、流通システムの構築につきましては、横浜市内の一部の地方卸売市場では、県内各地の農産物を市場みずからが集荷し、地元の販売店などに供給をしております。また、平成13年には、全国農業協同組合神奈川県本部が、集荷量の増加と安定供給を目指すために県の支援により冷蔵庫を整備したことを契機に、横浜地域を初め、比較的生産の豊富な湘南地域などの農産物の集荷に取り組み始めました。現在では、横浜市内の約130店の量販店などへ出荷するまで拡大をし、地場産品コーナーなどで販売されて、好評を得ております。さらに、現在、県では共同直売所を活用した新たな広域流通の仕組みづくりを、生産者団体にもかかわっていただき、検討を始めているところでございます。
 このような取り組みを通しまして、農産物の生産拡大と県域の流通システムの構築に努め、地産地消の推進を図ってまいりたいと考えております。