4.県営住宅の諸課題について(2)

<質疑>
 現在、県内にはインドシナ難民を初め、中国残留孤児とその家族、職を求めて日本にやってきたアジアや南米の人々など、約15万人の外国人定住者がいます。県営住宅で暮らす方々も多く、その数は1,729世帯、全戸数の4%になりますが、中には全戸数の16%に当たる世帯が外国人世帯という団地もあります。

 それぞれの団地では、自治会の皆さんが中心となり、外国籍住民の方々を本当の隣人として受け入れるために、さまざまな努力をされています。
 自分たちとは異なる文化や生活習慣を持った人々に対し、一方的に同化を求めるのではなく、相手を理解しようと努めながら共生を目指すことは、言葉で言うほど簡単ではありません。
 事実、住民の皆さんのそうしたご努力にもかかわらず、ごみ出しや駐車ルールを守らない、深夜まで人が集まって騒ぐといった日本の生活様式への理解不足から生じる迷惑行為は、いまだに収まっておりません。

 多文化共生の鍵は活発な情報発信と徹底した情報公開、そして、可能な限りシンプルなルールづくりだと考えておりますが、自治会の能力にも限界があります。



 そこで、知事にお伺いいたします。

 県では県営住宅への入居に際し、7カ国語のパンフレットを作成し、居住ルールをお知らせしていると承知しています。
 しかし、問題が集中して発生した場合、自治会等の要請によって、家主である県がもっとシンプルな方法、例えば苦情の多く寄せられている項目に絞ってチラシ等を作成・配布し、強く注意を喚起すべきであると考えますが、知事のご所見をお伺いいたします。
 また、今後、外国籍住民の方々に対し、多文化共生施策として計画している施策にはどのようなものがあるか、あわせてお尋ねします。


<答弁>
 県営住宅に居住する外国籍県民につきましては、昭和58年度に受け入れを始めまして、毎年増加し、現在、1,729世帯となっております。
 このように外国籍県民の入居の増加に伴い、言葉の問題や文化、習慣の違いなどによりまして、県営住宅での共同生活を営む上での他の入居者との間に、さまざまなトラブルが発生しております。

 これらのトラブルを解消するために、県では入居時のほかにも、外国籍県民が多く入居されている団地を対象に住まいの説明会というのを開催して、改めて団地内の生活ルールについての理解を求めるとともに、自治会等とのコミュニケーションの向上を図るよう指導しているところであります。
 さらに、言葉の違いから問題が深刻化する場合もあり、その際にも随時、自治会とも協調し、チラシ等の配布を行うことや、必要に応じ、通訳を同行しまして、個別に居住指導を行っておりますが、こうしたトラブルを解決するためには、継続的に粘り強く行っていくことが大切であると考えております。

 今後は騒音やごみ出し方法など、日常的にトラブルが発生しやすい問題につきまして、数カ国語による生活ルールの注意事項を記載した看板を団地内に設置することなどが有効な手段かと思われますので、こうした取り組みも試みたいと考えております。

 いずれにいたしましても、外国人入居者との共生の問題は、地域にとって教育、福祉など、さまざまな分野にわたっており、文化や習慣の違いを越えて、多文化共生を図る意味からも、今後は自治会を初め、地元の市町、国の機関、警察など、関係機関や団体と連携を密にして取り組んでいくことが大切であると考えております。