3.都市基盤整備について(1)

<質疑>
 県は大規模な分水路として、平成8年度に帷子川分水路を完成させたにも関わらず、今回の台風22号では、横浜市中心部の横浜駅西口の周辺地域などで、下水が処理しきれず逆流し、多大な浸水被害が発生いたしました。
 この被害を見まして、分水路ができたのになぜという疑問を持ちましたので調べましたところ、当初の計画では帷子川分水路は最大流入量毎秒350トンで計画されていたものが、現実には、分水路下流域での河川整備が遅れているために、流入量を当初計画の約7割に制限しているということがわかりました。

 つまり、分水路の機能を100%発揮できるようにするためには、横浜駅周辺の橋梁の位置を上げ、堤防を高くするなどの工事が必要となり、そのためには莫大な工事費と長い工期を要します。特に、鉄道橋梁の架け替えは、その費用のほとんどが都道府県など河川管理者の負担となるだけでなく、鉄道の運行に支障を生じない範囲での施工となるため、工期的にも工法的にも多くの制約を受けることになります。

 このような諸課題を考え合わせると、分水路の計画そのものが、周辺のまちづくりも踏まえ、十分協議が行われ、進められたのか、率直な疑問を抱いたところであります。



 そこで、知事にお伺いいたします。

 帷子川分水路には1,100億円という多額の投資がされているにもかかわらず、その機能が最大限に発揮されていないという現状について、どのように考えていらっしゃるのか。
 また、今後洪水対策等について、どのような対応をお考えなのか、知事のご所見をお伺いいたします。


<答弁>
■帷子川分水路の機能が最大限に発揮されていない現状につて。
 帷子川分水路を一挙に完成させることは長い年月と多大な費用を要しますので、上下流の状況を勘案して、段階的に治水安全度を上げていく工法をとっております。

 その際、トンネルなどの改築が著しく困難な構造物については、手戻りが生じないよう、将来の河川計画に合致した施工をしていくこととしており、帷子川分水路のトンネルについては、100年に1回の大雨にも対応できるよう、最大流入量毎秒350トンという将来の河川計画に応じた断面で施工したものであります。

 一方、計画当時、分水路トンネル下流の河川の能力がおおむね100トン程度しかなかったため、横浜市のまちづくりと調整しながら、護岸の補強とあわせ、順次、橋梁の将来的な河川計画への対応を進め、8橋梁のうち6橋梁を架け替えるなどして、260トンまで能力を高めてまいりました。
 このように分水路は下流の能力に応じて、分水地点におけるトンネルへの最大流入量を260トンとしているものであり、分水路としては約50年に1回の大雨にも対応できますので、十分機能を発揮しているものと考えております。
■今後の対応について
 帷子川本川における、川底掘削のための地盤改良や、護岸の根継ぎの工事は、当然、継続して進めてまいります。
 また、分水路の下流部対策としましては、国道1号の金港橋や市道の鶴屋橋の検討はもちろんのこと、治水対策としての効果の大きい最下流部のJR貨物線橋梁のかけかえと川幅の拡幅について、まずは検討を進め、帷子川分水路の効果が最大限発揮できるよう努めていきたいと考えております。