1.子どもの貧困対策の充実について


<質問要旨>

 昨年の県のひとり親家庭を対象にしたアンケート調査結果からは、ひとり親家庭の厳しい生活状況と切実な要望が伝わってきており、一刻も早く具体的な施策に反映させなくてはならないと思っている。
 平成28年度当初予算に新規事業として計上された「子ども・青少年の居場所づくり事業」と「子どもの貧困対策推進事業」もこうしたひとり親家庭の声を施策に結び付けていると考えるが、子どもの貧困をなくしていくためには、教育や生活、就労など様々な分野にわたる施策を県庁が一体となって推進していく必要がある。

 そこで、今回のアンケート結果等を踏まえた子どもの貧困対策について、新たな取組を含め、どのように充実させ、どのように推進していくのか、所見を伺いたい。


<答弁> 黒岩知事

 県が、昨年8月、生活が困窮している割合が高いひとり親家庭を対象にしたアンケート調査では
・ 支援情報が分からない
・ 窓口に行く時間がない
・ 親の留守中の子どもの様子が心配だ
といった意見が、多く寄せられました。
 また、昨年夏のハイスクール議会では、「自分たち高校生も、この問題に貢献するため、子ども対策本部をつくり、一緒に対策を考え、実行していきたい」という政策提言がありました。
 こうした声をしっかりと受け止め、県では、来年度から、3つの新たな取組みを始めます。
 一つ目は、子どもの貧困に関するポータルサイトの開設です。
 行政の施策やNPOなどの支援情報を集約して、提供するとともに、ひとり親家庭の親や子どもが相互に意見交換できる場を、サイト上に作ります。
 二つ目は、子ども・青少年の居場所づくりです。
 昨年2月、川崎市で中学1年生が殺害された事件などを踏まえ、家庭や学校に行き場を失い、孤立した子どもや青少年が、夜間に、安全・安心に過ごすことができる居場所を、市町村や民間と連携して提供します。
 三つ目は、ハイスクール議会で提案のあった高校生や大学生、NPOなどによる、「かながわ子どもの貧困対策会議」の創設です。
 この会議では、子どもや青少年の視点から議論や提案をしてもらい、県の施策につなげていきます。  県は、こうした様々な場で寄せられた意見や提案を踏まえ、県庁内で部局横断的に構成する「子どもの貧困対策推進会議」で全庁的に議論し、地域に密着した市町村とも連携し、しっかりと対策に取り組んでまいります。


<再質問>
 この子どもの貧困に関しましては 6つの局、15の部・室、そして27名もの部課長が構成員として推進会議に名を連ねていらっしゃるわけであります。県庁一体で推進するといっても、その局と局との連携や事業の間の調整など具体的なコントロールを誰かがしていかなきゃいけないわけです。子どもの貧困問題というのは、県民局の子ども家庭課がとりまとめ部局になっていますが、非常に裾野が広い課題です。 こういった部局横断的な事業を遂行していく時には、一定の権限を擁した幹部がしっかりとイニシアチブをとって推進していくことが不可欠だというように思いますが、これについて知事の見解を伺います。


<再答弁> 黒岩知事
合的に進めていくという中で、基本的には、私自らがリーダーシップをとって推進してまいりたいと考えておりますが、ご提案のあった一定の権限を有した幹部については、内部で検討させていただきたいと思います。


<要望>
 子どもの貧困の問題、これだけ多くの部局が絡む体制でありますけれども、知事が当面は陣頭指揮をとってというように受け止めさせていただきました。本当に、大いに力を入れて、旗をふっていただきたい、その想いは私もございます。
 ただ、先ほど申し上げたのは、やはり、実務のところで、事業から事業へスムーズにつないでいくために、スキルが必要なんだと思います。その体制をどうしたらよいか。
 クロスファンクションの事業は、子どもの貧困問題に限らず、必ず出てくる課題であると思います。しっかりと取組んでいただきたいと思います。  また、学力の問題、栄養や体力の問題、家庭間の人間関係、あるいは社会とのつながりなど、本当に裾野が広いテーマであります。子どもを専門に扱う局などのそういったものを、この神奈川県で設置をしていけたらと思います。是非検討していただきたいと思います。