4.県立がんセンターの「漢方サポートセンター」について


<質問要旨>
 新がんセンターでは、漢方治療の充実を図るため、「漢方サポートセンター」の開設準備を行っていると承知している。
 がん患者は、治療により、食欲不振など、様々な副作用が出る場合があり、強い副作用から、がん治療を断念することも少なくない。がん治療の副作用の軽減に向け、漢方薬の処方は効果的なほか、がんとの戦いの中で、体力維持を目的とした緩和ケアにおいても、大きな役割を果たすものである。
 漢方治療の普及、拡大にあたっては、医師はじめ医療関係者の理解促進が欠かせないとか、患者一人ひとりの診察に時間がかかり、診療報酬が稼げないなどの課題があるほか、患者が、漢方に関心があっても、どこに行けばよいのか、よくわからないという声も聞く。

 そこで、がんセンターに設置する漢方サポートセンターについて、その内容や設置に向けたスケジュールについて伺いたい。


<答弁> 黒岩知事
 がん治療における漢方医療は、身体全体の免疫機能を高め、抗がん剤治療の副作用を軽減するなどの効果が期待されており、大変有用なものと考えています。
 そこで、現在、がんセンターで行っている漢方医療の充実を図るため、漢方サポートセンターの来年4月の開設を目指しています。
開設にあたっては、先行するがん研有明病院の漢方サポート外来の事例などを情報収集し、参考として準備を進めています。
 漢方サポートセンターでは、漢方の専門医師などを配置し、がん患者向けに週4日の専門外来を実施します。
 また、入院患者に対しても病棟回診の中で、漢方薬が必要な患者に処方や服薬指導を行います。
 さらに、相談機能として、漢方医療を希望する患者へのアドバイス、抗がん剤の副作用で低栄養になった方への栄養サポート、がんセンターで行っていない漢方医療の紹介など、漢方医療に関する様々な相談に対応いたします。
 このほか、漢方医療の症例分析や、大学等と連携してセミナーを開催し、医師等、医療関係者の漢方医療への理解を深めるとともに、県民への情報提供を推進します。
 がんセンターにおいては、「手術による外科治療」、「放射線治療」、「抗がん剤による化学療法」のがん三大療法のほか、今後、漢方医療の充実や、重粒子線治療の開始、がんペプチドワクチン療法も加え、総合的ながん治療ができる病院を目指してまいります。


<要望>
 質問の中で申し上げた、国立がん研究センターの医師は、抗がん剤の副作用を六君子湯という漢方薬を使って緩和して、がん患者のQOL※を上げているということなのですが、研究を始めた頃は周囲の理解が得られずに苦労したという話も伺いました。
 医師等への理解を広めるということのもテーマのひとつだとおっしゃっておりましたので、県立がんセンターの中でがんばっていらっしゃる、漢方専門外来をこれから担っていくスタッフの方々への暖かい支援もあわせて、しっかりお願いします。

  ※ QOL…Quality Of Life(クォリティオブライフ)の略語。生活や精神面を含めた、個々人の人生の質という考え方。