■平成23年第2回定例会 建設常任委員会(平成23年7月8日)
<質疑一覧>
 高齢者居住安定確保計画について
 神奈川県立都市公園の防災機能について
 県土整備行政について


 高齢者居住安定確保計画について
<質疑>
 昨年の2月の議会になりますけれども、私は代表質問で住宅問題を取り上げた際に、県営住宅に入居されている方々が大変高齢化し、また、障害を持つ人も急増しているという状況を当時の松沢知事に申し上げました。
 公営住宅が、あたかも福祉施設化しているという指摘も多くある現状に対して、当然これは住宅部局だけでは対応が困難でありまして、また、福祉部局との連携が不可欠であるということも指摘をさせていただいたところでありますけれども、その後、松沢知事が県営住宅における高齢者見守り活動等活発に行っているところを視察していただきました。
 また、国においても高齢者の住まいに関わる法律の改正、また、国交省と厚生労働省が共管して高齢者の住まいの問題に取り組んでいくというような方向、こういうことが進んできたということで非常に注目をしています。
 本県においても、今年4月に高齢者居住安定確保計画が策定されて、今後、高齢者の住宅問題に関してですけれども、住宅施設との連携が一層進んでいくのではないかというふうに期待しているところでもあります。そこで、この計画に関連して何点かお伺いしたいと思います。
 まず、確認の意味を含めまして本年4月に策定した高齢者居住安定確保計画、その概要をお伺いいたします。

<答弁> 住宅計画課長
 この計画は、高齢者の居住の安定確保に関する法律の平成21年度改正によって創設された計画でございまして、都道府県が定めることができるというふうにされたものでございます。
 平成23年4月に策定をいたしまして、かながわ高齢者保健福祉計画の見直し時期に合わせまして、平成23年度から平成26年度までの4箇年の計画といたしました。
 特徴といたしましては、住宅施策と福祉施策が一体となって取組を総合的かつ計画的に推進することによりまして、基本理念であります高齢者が住み慣れた住宅や地域で住み続けることができる環境の整備、これの実現を図ろうとするものでございまして、サービス付き高齢者向け賃貸住宅と老人ホームなどの供給目標を設定するとともに、高齢者の居住の安定確保に向けた取組と実現に向けた推進体制、進行管理を位置付けた計画でございます。




<質疑>
 住宅施策と福祉施策が連携をして高齢者の住まい、安定した居住環境を保証していくということで、大変、これについては重要な事業であると思いますし、進めていただきたいというふうに思うわけで、国立社会保障・人口問題研究所のデータというのがありますけれども、御存じのように神奈川県というのは2005年と、そして30年後の2035年を比較したときに、日本一高齢者が増加する。2005年段階では148万7,000人だったものが、2035年には271万人を超えると、83%程度の増加率になるのではないかと言われて、日本で一番これから高齢化という問題が大変大きな課題として立ちはだかる、そういった自治体になるわけであります。
 高齢化が進むということは、当然、低所得者が多くなるというふうにも私は考えているんです。低所得の方が増える、障害を持った方も増える、御病気の方も増える。私はこれが高齢化社会というものだというふうに思っているわけです。そうすると、確かに住宅施策と福祉施策が連携して高齢者の住まいの問題に関わっていく大変重要なことであります。
 ただ、そこに欠かしてはいけないのは、先ほど申し上げたように、高齢化の進展に伴って低所得者がこれまで以上に増えていく。あるいは低所得であることがある意味では当たり前になってくるという、そういう社会が到来する。
 そこで、この高齢者の住宅問題を語る上では高齢者がどのくらいの、いわゆる住居費、家賃、これを負担できるのかということを考えなければいけないというふうに思っているわけです。すなわち、所得に対する住居費の負担割合の組替えというようなものも考えていかないといけないというふうに思うわけですけれども、この辺り、県としてはどのようにお考えなのかお聞かせいただきたいと思うんですが。

<答弁> 住宅計画課長
 家計に占める住居費の割合につきましては、総務省が毎年公表しています家計調査年報というものがございますが、この中の分析では、自宅にお住まいで家賃などが要らない方もいらっしゃれば、民間の賃貸住宅にお住まいで家賃のかかる方もいらっしゃいまして、そういった方が一緒に入った中での金額を出されているものですからなかなか参考にならないというふうに考えておりまして、一つ参考になるものといたしましては、生活保護制度の中で住宅扶助の上限額がございまして、横浜市、川崎市においては月額5万3,700円という金額になっております。この辺の金額が一つの目安になるのではないかなというふうに考えております。




<質疑>
 低所得になればなるほど住居費の負担というのは重くなっていくということで、県営住宅などは所得に応じた家賃というような制度になっているわけですけれども、その県営住宅の家賃の減免といいますか、家賃を県民の方に負担していただく、基本的な金額、後はその所得に占める家賃の割合の考え方、その辺りの基本的なことが分かりましたら教えていただきたいんですが。

<答弁> 公共住宅課長
 県営住宅の家賃につきましては、収入に応じて定額で決まっているわけではございません。まずは基本となります算定の基礎額というのがありまして、それにいろいろと建物の古さとかそういった利便性が良いか悪いかとか、そういったものをいろいろと掛け合わせていくんですけれども、このうち基本になります家賃算定の基準額、これはある程度収入見合いで家賃負担率を意識して設定されておりまして、例えば県営住宅、原則的には15万8,000円以下の月収の方がお入りいただくという基準がございますが、その15万8,000円を例にとりますと、この場合の家賃算定の基礎になるのが5万1,200円ですので、収入に占める割合というのが大体3割ちょっと、32%ほどになってございます。
 ただ、県営住宅はいろいろと先ほど申し上げましたように古い住宅もありますので、実際の家賃は平均いたしますとそれよりもずっとお安くなっているという中で、さらにはそれぞれの御家庭の御事情に応じて減免等の仕組みもございますので、実態としては、今、申し上げた5万1,200円よりは低くなっている、そういう状況でございます。




<質疑>
 3割ちょっとというのが一つの考え方なのかなというふうに思います。
 今はどういうルールになっているのか分かりませんけれども、住宅ローンなども大体年収の3分の1ぐらいが限界だよというように言われていたようにも記憶していますし、ただ、所得が低くなればなるほどその割合というものは、例えば年収1,000万円の人が住居費で3分の1を持っていかれるのと、200万円の人が3分の1持っていかれるのとでは当然この住居費の問題は違うわけで、その辺りの高齢者にとっても、今、県営住宅の中では様々な事情によっての減免、あとは住宅の利便性や新しい古いというようなこと、そういったことに対しての家賃がそういう要素も含めて決まっていくというようなこともありましたけれども、高齢者の住宅ということについても、やはりこれからは所得と住居費の負担ということをしっかり考えていかないとなかなか負担し切れるものではないというふうに思っています。
 例えば高齢者のみの世帯を見ると、年収200万円以下の世帯は約4割を占めているというような、これは国民生活基礎調査という若干古いデータかもしれません。2007年に発表された数字なので、これから、今は年収200万円以下の世帯が約4割なんですけれども、さっき申し上げたように、これからどんどん膨らんでいくというようなことも考えられるので、やっぱり高齢者住宅施策においては低所得者対策ということもしっかり進めないといけないというふうに考えているわけですけれども、例えばこれまでも住生活基本計画とかそういったこれまでの住宅施策の中で、低所得の高齢者に向けた施策というのはどのようなものがあったのか。また現実的に、今、その仕組みが走っているのか、この辺りも教えていただければと思いますけれども。

<答弁> 住宅計画課長
 これまで本県が実施いたしました低所得の高齢者向け住宅といたしましては、一つは高齢者向け優良賃貸住宅、もう一つは公営住宅でのシルバーハウジング、この二つがございます。
 高齢者向け優良賃貸住宅につきましては、県がモデル事業といたしまして9団地259戸を供給いたしまして、その後、市町村におきまして47団地1,327戸、合計で56団地1,586戸、こういうふうな住宅を造ってございます。
 また、シルバーハウジングにおきましては県営住宅では5団地113戸、市町村営住宅で217団地5,719戸、合計で222団地5,832戸を有しております。




<質疑>
 今、御説明いただいた高優賃ですけれども、これも先ほどの県営住宅と同じように、立地でありますとか占有面積でありますとか、様々な事情によって家賃の当然高い低いというものがあると思うんですけれども、平均するとこの高優賃というのはどのぐらいの家賃なんですか。

<答弁> 住宅計画課長
 高優賃の家賃につきましては、基本的に県営住宅に準じた形で家賃算定をしてございまして、1DKタイプの場合、収入の低い方で3万3,000円から4万8,000円、収入の高い方で5万2,000円から7万5,000円程度でございます。
 また、世帯タイプの2DKでは収入の低い方で4万8,000円から6万5,000円、収入の高い方で7万5,000円から12万3,000円程度でございます。




<質疑>
 この高優賃でどの程度の所得レベルまでカバーできるのか、これから、これは建設部局だけの問題ではありませんけれども、今後の例えば社会保障なども含めて高齢者の所得というものを考えながら、しっかりと無理のない負担で住めるような形でこれからも取り組んでいっていただきたいと思うんです。県営住宅と並んで大変これからセーフティネットの役割も果たす住宅だと思いますので、その点よろしくお願いしたいというふうに思います。
 また、高齢者居住安定確保計画の中には、その取組の中でサービス付き高齢者向け賃貸住宅というのがあります。県としてもその供給促進を掲げているわけですけれども、このサービス付き高齢者向け賃貸住宅の家賃というのはどれぐらいになるんでしょうか。

<答弁> 住宅計画課長
 サービス付き高齢者向け賃貸住宅につきましては、今年度から新たに創設されたものでございまして、国が5月30日から事業の公募を開始したところでございます。
 このため、県内では現在四つの事業、合計181戸の計画が出されているという段階でございまして、今後、事業の数が増えていきますとどのような家賃設定になるのか分かりませんけれども、その4つの事業について値を参考に申し上げますと、住居面積が25平方メートルの単身向けから約倍の面積の54平方メートルまでの世帯向けの住宅がございまして、家賃は8万4,000円から16万8,000円。共益費が1万円から2万円。そして安否確認と生活相談のサービス料というのがございまして、それが1万5,000円から2万7,000円。合わせまして単身者向けが12万円から13万5,000円、世帯向けが16万3,000円から20万3,000円となっております。




<質疑>
 このサービス付き高齢者向け賃貸住宅というのは国も積極的に進めようとしている事業ではあるわけですけれども、今の金額をお聞きして、なかなか現実の高齢者の経済力とはちょっと、かい離があるかなという思いもしたわけであります。
 こういった住宅に高齢者が本当に無理なく入っていけるのか、また、無理なく入れる人がどの程度いるのかということを懸念せざるを得ないわけですけれども、当局としてはその辺りどのように考えていますか。

<答弁> 住宅計画課長
 サービス付き高齢者向け賃貸住宅につきましては、高齢化が急速に進む中で高齢の単身者でありますとか夫婦のみの世帯が増加しております。そうした中で、介護、医療と連携することによって見守りや生活相談などのサービスを提供する住宅を早急に確保していこうというものでございます。
 このため、住宅部門がこれまで高齢者向けの住宅として推し進めてきました高齢者円滑入居賃貸住宅、高齢者専用賃貸住宅、高齢者向け優良賃貸住宅の3施設に加えまして、いわゆる有料老人ホーム、これらの施設が有している問題点を改善してこのサービス付き高齢者向け賃貸住宅に一本化したものでございます。
 このため、サービスに係る費用まで考えますと、委員お話しのように低所得者の方まではちょっと難しい面もあろうかと思いますけれども、これまで多くの有料老人ホームで見られましたような多額の権利金、そういった前払い金を廃止するといったようなことですとか、サービス内容を明記した賃貸契約にしていくというふうに今回の住宅は改善してございますので、そういった意味では、今後の少子高齢社会におきまして非常に大きな意義があるものであるというふうに考えております。




<質疑>
 今、御説明いただいたように住宅の意義、これは大変大きいものがあるというふうに思います。なかなかセーフティネットというようなところにはいかないというように思いますけれども、これから当然所得に応じて、また、高齢者お一人お一人の考え方に応じて多様な住まいを供給していくということでは一つ大きな事業なのかなと思います。
 また一方で今、申し上げたセーフティネットという部分になってまいりますと、やはり公営住宅というものが相変わらず担っていかなければいけない役割というのは大変大きいというふうに思います。
 県営住宅の建て替え、これは新たな県営住宅の建設というのは基本的にはないというふうに承知をしておりますけれども、建て替えの際に高齢者への様々なニーズに配慮して住宅の建て替えを進めている、様々なバリエーションをそこでつくっているというように聞いていますけれども、その内容について教えてください。

<答弁> 公共住宅課長
 県営住宅の建て替えに当たりましては、今、委員からもお話がございましたように、新規団地の建設といったことは検討されませんで、古い住宅の建て替えが主体で行っております。
 そういった中では、今、現在建て替えられる住宅に住んでいる方が基本的には戻られると。建て替えられた後に戻られるケースが多うございます。
 ただ、その場合も一律に同じ間取りを造って住宅を立ち上げるということではなくて、それぞれ最初に住まわれていたときと家族数ですか、状況も変わってくることもございます。
 ですので、実際に入居される方の生活実態や御希望についてもある程度ヒアリングさせていただいて住戸を整備する。
 また、戻り入居以外で新規に整備ができる住戸についても、先ほどからお話が出ておりますように、高齢単身の方が増えているといったようなことも踏まえまして、単身の高齢者向けの住宅ないしは身体障害者の方向けの仕様や設備を整えた住宅を一部併せて整備していく、そういったようなこともやってございます。




<質疑>
 これまで様々なそういった今の県営住宅において大変高齢化が進んでいるとか、あと、なかなか単身の高齢者、100倍を超えるような倍率になってしまうというようなことをこれまでも申し上げてきたんですけれども、どちらかと言うと公営住宅の役割というのは、本来は若い勤労世帯に向けて造り続けてきたものであって、必ずしも福祉的な機能、役割を前提としていないというようなこともあったように思います。それはそれでこれまでの時代は良かったのかもしれません。
 ただ、今、本当に単身世帯が急増している、今日も朝、新聞に目を通していましたらそのような記事がありましたし、この単身世帯の急増、特に高齢者の単身者が大変多くなっている。しかもその多くの方々は決して所得も多くないというような実情を考えると、しっかりその辺りに照準を合わせた事業というのも私はこれまで以上に重要になってくるんだというふうに思います。
 これまで福祉と連携した住宅を建設してきたということでありますけれども、例えばどういう住宅をお造りになって、また、それで入居者からの声というものの要望や、また、様々な感想、意見、そういうものもありましたらちょっと教えてほしいんですけれども。

<答弁> 公共住宅課長
 先ほどの住宅計画課長の答弁と一部重なってございますけれども、県営住宅ではこれまでに高齢者の方が安心して暮らしていかれるようにということで、地元の市等と協力いたしまして市が地域福祉の包括センターのようなものと併設するような住宅、いわゆるシルバーハウジングというものを建設してまいりました。それは数字で申し上げますと5団地113戸ほどございます。
 それで、そういった住宅に入っている入居者の方の声ということでございますけれども、シルバーハウジングの中の機能においては日常生活の相談ですとか、いわゆる軽易な見守りといったこともその機能の中に入ってございます。そういった中で日常的に生活相談を身近にできる方がいるといったことで、非常に安心感があるといったお声も聞こえております。
 ただ、一方で、過分に自分の生活に干渉されたくないという方も一部にはいらっしゃいます。それは入居者の方の思いは様々でございますが、全体としておおむね入居者の価値観は好評ということで私どもとしては考えてございます。




<質疑>
 国は住生活基本法を国会で制定された。要するに基本的な考え方としては、住宅というのは数の面では充足をしているんだと、公的賃貸住宅の役割というものも一定これは使命を終えたような話も出てきたように記憶しているわけですけれども、いまだに、例えば神奈川県の県営住宅でも、倍率は毎回毎回10倍を超えています。高齢者の御夫妻が県営住宅に入ろうと思うと、これは時によっていろいろ差はあるかもしれませんけれども、30倍くらいの倍率だと。高齢単身に至っては先ほど申し上げたように100倍を超える。
 なぜかと言うと、これは県営住宅に入る、もちろん民間の家賃はなかなか負担し切れないということもあるでしょう。それを裏返すと、公営住宅並みの家賃ではなかなか民間では十分な広さや利便性が確保できない、そういった問題もあるというように思います。当然住まいというのは数の問題も大事ですけれども、質の問題も大変大事だというふうに当然ですけれども思っています。
 平成19年3月に策定した住生活基本計画、この計画によると高齢者がお住まいになる住宅のバリアフリー化率を、平成15年に30%だったものを平成27年には75%にするという目標であります。
 また、最低居住面積水準未満、狭小で劣悪な住環境を何とかまともなものにしなければいけないということで、そういった最低居住面積水準未満の住宅を平成15年に6%、大した数ではないといえばそうかもしれませんけれども、この6%を即解消するというふうにしていたわけでありますけれども、現在までにその達成状況というのはどのようになっていますでしょうか。

<答弁> 住宅計画課長
 データにつきましては、総務省が実施しております住宅土地統計調査というのがございまして、平成15年の数値につきましても平成20年の数値につきましてもそれぞれ同じものですが、それぞれの数値を申し上げますと、バリアフリー化率につきましては平成15年に30%であったものが平成20年には37.4%に改善されております。
 それから、最低居住面積水準未満の世帯率につきましては、平成15年の6%から平成20年には8.2%へと若干悪い値になっているのでございますが、これにつきましては数値がおかしいということで原因を調べましたところ、実は調べた水準というものが平成15年時点と平成20年時点とでちょっと違う水準に変わっておりまして、後日、国土交通省の方からそれを修正するような計算式というのが出されておりまして、その式で当てはめて計算いたしますと、平成20年が5%ということになりまして、平成15年に比べて1%良くなっているという結果でございました。
 しかしながら、どちらの値も住生活基本計画の計画年次であります平成27年度の目標値に照らし合わせますと目標を若干下回っているという状況でございます。




<質疑>
 今、御説明をいただいた最低居住面積水準というものが若干違っていたということなんですけれども、分かりましたら平成15年の基準と平成20年の基準、これを教えてください。

<答弁> 住宅計画課長
 今、手元にちょっと細かい数字がないんでございますが、新しい基準ですと、世帯当たり基本となる面積、数字をちょっと説明しましたが、例えば18平米とかそれプラス世帯人数一人当たり10平米を加えていくというふうなそういう考え方で、それよりも面積が大きいか小さいかということで計算をしてまいりました。
 それに対しまして、平成15年のときはその数字がもっと小さいものでございました。そういう基準自体が違うということで、結果に違いが出てきてしまったという内容でございます。




<質疑>
 基準が違うと単純な比較というものができなくなるというのは分かります。
 ただ、居住水準というものはやっぱりどんどん改善をしていかないといけない、その水準自体も高いものにしていかなければいけないということもありますから、できるだけその時その時の居住水準にかなった住宅を供給するということ、これは是非心掛けていただきたいというふうに思います。
 大体その居住水準未満の住宅というのは、これは多分想像かもしれませんけれども、例えば古い民間の木造アパートとかそういったところがなかなか買い手が進んでいかない一つの要因にもなっているというふうに思います。
 県営住宅、公営住宅というのはある意味で水準をボトムアップといいますか、そういった役割も果たしているのかなというふうに思いますので、是非今後、建て替えなどによって供給する公営住宅の居住水準というのを少しでも改善させながら取り組んでいっていただきたいというふうに思っております。
 また、今、お話をいただいたように、なかなか住生活基本計画もせっかく策定したわけでありますけれども、目標どおりには進んでいないというようなこともあります。そういった実態がまだまだ立ちはだかる中で、今回の高齢者居住安定確保計画の推進に向けてまずどのように取り組んでいくのか当局のお考えをお伺いいたします。

<答弁> 住宅計画課長
 高齢者居住安定確保計画の進捗につきましては、現在の社会経済情勢を鑑みますと、とりわけ東日本大震災の後でございますので、計画どおりに進めていくというのは非常に難しい面があろうかと考えております。
 しかしながら、今後、高齢化の進行が全国で一番早いと言われております本県におきましては、高齢者の居住の安定確保を進めていくということは喫緊の課題だと認識しております。このため、県内に数多くございます高度経済成長期に誕生いたしました住宅団地、こういったところにおいて、高齢化でありますとか空洞化が進みましてコミュニティーや活力が乏しくなり数多くの問題を抱えている、こういったところにおきまして、団地の再生に向けて、団地内に介護や福祉の活動拠点となる施設でありますとか、子育てを支援する施設を誘致することによりまして、多世代が近くに住まうことができる多世代近居による団地再生のモデル事業を実施し、神奈川から新しい住宅まちづくりを発信していきたいと、かように考えている次第でございます。




<要望>
 いろいろお尋ねをさせていただいてまいりましたけれども、これから我が国、そして神奈川県が国の水準以上に高齢化が進んでいくということであります。私の元にも年金定期便だとか、そういったものが来るようになって大体自分の老後の生活なんていうのもイメージしやすくなってきています。
 先ほど申し上げたように、今は高齢者のみの世帯、大体年収200万円以下の世帯が約4割ということになりますけれども、これからの社会保障の状況などを考えていきますと、総体的に低所得と言われる高齢者が増えていく。そのぐらいの所得がどんどん当たり前になってきていると、そういった中で、今回、高齢者居住安定確保計画が策定されたわけでありますけれども、その中で進めている高齢者向けの賃貸住宅、これはなかなかこれからの低所得化が進むこの高齢社会、そして高齢者をカバーし切れないところもあるんではないかなという懸念があります。高齢者が負担できる家賃とのかい離というものを、今日のこの質疑の中で感じていたわけでありますけれども、この高齢者の住宅問題、実に様々な困難な課題があるというふうに思います。
 目標どおりに進めていくというのも大変難しい事業であると理解するわけですけれども、今後、更に福祉施策との連携を図って、これまで以上にもっと幅広な高齢者をしっかりとカバーできるような住宅問題に取り組んでいっていただきたいというふうに思います。
 国の住生活基本法では、これまでも公的賃貸住宅の役割、これは公営住宅もそうです、URもそうですけれども、一定の使命を果たし終えたというようなこともありますけれども、ただ、現実を見ると、やはり公的賃貸住宅の役割というのは私はなくなっていないというように思いますし、これからますます役割の重さが増していくというような事態にもなるんではないかというふうに思っていますので、そうした高齢者の住宅問題に一層しっかり進めていただくように要望させていただいて、この質問は終わりにさせていただきます。




 神奈川県立都市公園の防災機能について
<質疑>
 3月11日の東日本大震災、甚大な被害をもたらす大災害でありましたけれども、本県においても東海地震でありますとか神奈川県西部地震でありますとか、そういったものの発生が懸念をされているという状況にございます。大規模地震が発生した時には、避難場所あるいは応援活動拠点としてこの県立都市公園が使われることも想定されているわけでありますけれども、その防災対策について幾つか御質問をさせていただきたいというふうに思います。
 これまで阪神・淡路の地震あるいは新潟の中越地震、そういった時に実際に都市公園というのはどういう使われ方をしてきたのかお伺いをしたいと思います。

<答弁> 都市公園課長
 平成7年1月に発生しました阪神・淡路大震災では、神戸市灘区の栄公園や王子公園など多くの公園が被災地や自衛隊の駐屯地などとして使われており、また、同市の長田区の大国公園、ここでは火災の延焼を防止したことでも注目されております。
 また、平成16年10月に発生しました新潟県中越地震では、新潟市の鳥屋野潟公園が被災市町村への物資の集積ですとか配送、そういった支援拠点として使われております。
 あと参考ということでいきますと、今年3月の東日本大震災でいきますと、仙台市役所前の匂当台公園が支援車両の駐車場として使用されておりまして、また、沿岸部の扇町四丁目公園では自衛隊の住居区などとして活用されております。
 さらに仙台市青葉区の台原森林公園、こちらでは耐震貯水槽につながる水道管、これが被災を免れたために公園内の消火栓から給水を行うということで給水所としての機能も発揮しております




<質疑>
 都市の中でまとまった空間でありますから様々な役割というものを果たすことになると思うんですけれども、この神奈川県立の都市公園ではどういった防災対策をお持ちなのかお伺いしたいと思います。

<答弁> 都市公園課長
 委員のお話にありましたように、県立都市公園というのはまとまった緑ですとかオープンスペース、そういったものがございまして、避難者を受け入れるだけではなくて、火災の延焼を防止し、避難者を守るというそういった機能もございます。
 まずは緑ですとかオープンスペースの確保、こういったことに努めております。
 また、市町の防災部局などと調整をいたしまして、災害時にはヘリポートとして使用できる広場の整備、緊急物資等を備蓄した備蓄倉庫、さらには飲料水ですとか防火用水を地下に蓄えた耐震性の貯水槽、それから生活用水に活用できる井戸、そういったものを一応設置してございます。
 その他、避難者の受入可能な施設としまして、太陽光発電を備えた環境共生型のパークセンター、そういったものも整備をしているところでございます。




<質疑>
 3月11日の東日本大震災において神奈川県は直接的な被害はそう大きくなかったということでありましたけれども、こういう場合にも県立都市公園というのは一定の役割を果たしていたわけでしょうか。

<答弁> 都市公園課長
 3月11日の東日本大震災のときの状況ということでございますが、発生直後から県立都市公園につきましては園内の安全確認を行うとともに、園内放送ですとか管理員による利用者への注意、呼び掛けとか避難、誘導、そういったものを行っております。
 さらに津波警報等が発令されておりますから、特に海岸沿いの公園では警察署、消防署、そういったところと連携をいたしまして来園者の安全確保、それから避難誘導をはじめ、津波注意の看板の設置、それから駐車車両の園外への誘導、そういったものを行っております。
 また、城ヶ島公園、こちらでは高台にある有料駐車場に避難された車があったことから、受入れのために12日までの間ですけれども無料開放といたしております。
 さらに、茅ヶ崎市の高台にございます茅ヶ崎里山公園でございますが、こちらには約200名の方々が公園に自主避難されたということがありまして、パークセンター、それから駐車場を夜間開放いたしまして、茅ヶ崎市の防災本部と連携をいたしまして毛布、それから食料などを配布するなど避難者対応を行ったところでございます。
 あとは、四季の森公園では停電も一応発生したというのがありまして、そういった停電の中、来園者の安全確保に努めたということでございます。




<質疑>
 今、お話に出た四季の森公園というのは私の地元、区は違うんですけれども、ちょっと区境の向こう側、緑区にあります。あと、その隣には保土ケ谷公園という大変大きな県立公園がありますけれども、これは大きな地震が起きたときにどういうふうに保土ケ谷公園などは使われることになっているのでしょうか。

<答弁> 都市公園課長
 災害時に保土ケ谷公園がどのように使われるのかという御質問だったと思いますが、保土ケ谷公園につきましては地域防災計画で広域避難地、それから広域応援活動拠点に位置付けられておりますので、大規模地震発生時には周辺の地域からの避難者を受け入れまして、また被災者の救援、それから物資の支援活動の拠点として使用されます。
 具体的にはということでいきますと、サッカー場は人命救助ですとか救援物資の輸送などのヘリポートとして、それから硬式野球場ですとか駐車場などは自衛隊の活動拠点として、それからプール、井戸、地下の耐震貯水槽につきましては生活用水の確保の場として、あとパークセンターにつきましては避難者受入施設として、そのほか軟式野球場、テニスコート、運動広場やピクニック広場などございますが、そういった場所につきましては避難場所としての利用が想定されます。
 実際に大規模地震が発生した際にはどうなるかということでございますが、市の防災部局と調整しながらその状況に応じて施設をどのように使っていくのかということで決めていくことになると思います。




<質疑>
 避難計画などは市町村が定めているわけですけれども、例えば大きな地震が起きたときに、都市公園というのはその周囲は住宅地であったりするわけです、大規模な火災が発生したりすることもあるでしょう。そういったときに、例えばどれくらいの人が公園に避難をしてくる、なだれ込んでくると言ったらちょっと言葉は悪いかもしれませんけれども、その辺りの想定というのはされているんですか。

<答弁> 都市公園課長
 県立都市公園を管理する方の立場といたしましては、どれだけの人が都市公園の中に避難されてくるかというところまでは把握しておりません。
 そういった意味では、避難者対策というのが、委員がおっしゃられたように一義的には市の役割というふうになっておりますので、災害の状況に応じて、例えばどのぐらいの被災があるのかというようなところで各市町さんの方で想定されているというふうに考えております。




<質疑>
 例えば横浜市がどういった計画を持っているのかというふうに、私も市会議員の方にちょっと骨折っていただいて聞いてみたんだけれども、目下のところ帰宅困難者だとかそういった対応で精一杯になるだろうと、あとはその後の、いわゆる避難所として中長期にわたる避難所生活をどういうふうに支えていくのかということで、いわゆる屋根のある場所、そういったところへの対策で一杯一杯というようなそんな印象を受けました。
 ただ、都市部ですから、大都市部だとそういった避難所のキャパシティーというのも限界があろうかというふうに思います。公園のような屋根のない場所で避難生活を余儀なくされるということを当然考えなくてはいけないわけで、その辺りについてはこれは県も場所を提供するだけで、あとは市町の仕事だというふうに割り切るだけではなくて、市町ともしっかりと連携を図っていただいて、最悪の場合を想定するというのも難しい話かもしれませんけれども、そういったある程度の期間、避難場所として機能しなくてはいけないというようなことも念頭に置いて都市公園の防災機能の充実を図っていただきたいというふうに思います。
 例えば横浜のような、あるいは川崎のような、また神奈川県などでは都市が多いですから、そういった中で大災害が起きて多くの住民の方が避難をしてきた場合に、例えば必要となる物資だとか、あるいはトイレだとかそういったものをどういうふうに確保していくのかというのがあると思うんですが、これも市町の仕事ですからっていうふうに言ってしまえるのかどうか、その辺りどうですか。

<答弁> 都市公園課長
地域防災計画でいきますと、避難者対策というのは一義的に市の役割ということにはなっておりますけれども、私ども公園を管理する立場である、県といたしましては市の防災部局の意見、それから要望なども踏まえまして、例えば市の方で行う避難者用の資材、保管というか、備蓄のための備蓄倉庫の設置ですとか生活用水の貯留等、そういったことについて私どもの方も十分協力をしていきたいというふうに考えておりますし、公園管理者としてそういった避難者対策についてできるだけの対応を行っていきたいと、そのように考えております。
 また、避難者の誘導や対応についても今後、市の防災部局などと協議をいたしまして、公園管理者として協力、連携をしていきたいと、そのように考えております。




<要望>
 例えば今、私が申し上げたトイレの問題なども大変重い課題だというふうに思います。
 あとは公園ですから、ふだん停電していなくても中は暗いわけで、夜間どのように避難者の安全・安心を確保していくのかということも大きな問題だというふうに思います。そういったこと、確かに場所を提供する、県だけでなかなか進めていくことは難しいというのも承知をしています。あるいは財政的な問題もあるというふうに思いますけれども、その地元の市町にとっても大変重要な場所になるわけですから、しっかりと市町の防災部局と県と意見交換や情報公開やそういったことをしっかりしながら、本当にいざというときに役に立つ都市公園にしていただきたいというふうに要望いたしましてこの質問を終わります。




 県土整備行政について
<質疑>
 最後にちょっと一つだけお聞きしたいと思います。黒岩知事が就任されて間もなく3箇月。この間の6月の議会の質疑をいろいろ聞いておりますと、知事が大変熱心に取り組まれたいというようなことについてはイメージは我々もつかめたわけでありますけれども、具体的なことになるとまだなかなか就任以来そう時間もたっておりませんし、難しいところもあるのかなというふうに思います。
 そこで、この県土整備行政について、これまで知事に対してどんなことをどの程度進行といいますか、説明をしてこられたのか、その辺りを教えていただきたいというふうに思います。

<答弁> 県土整備局長
 これまで局の事業をどのように知事に御説明したかと、こういうお話でございますが、県土整備局の課題につきましては、就任直後の5月上旬に知事の懸案ヒアリングというのがございました。その中で県土整備全般の御説明をしたわけですけれども、特に道路につきましても超過課税を活用して幹線道路ネットワーク整備を着実に推進していくと、このように御説明したところでございます。
 それから、その後、知事に地元からの御要望があった箇所が何箇所かございますけれども、そういう際に事前に知事に御説明してまいりました。
 ただ、就任されて、先ほども委員がおっしゃいましたように3箇月弱ということでございまして、個別の路線について十分に御説明する時間がとれておりません。多くの路線についてまだ御説明する時間がとれておりません。今後、様々な路線、箇所について御要望があると存じますので、適時、適切な時期にしっかりと御説明を申し上げてまいりたい、こういうふうに思います。
 それから、やはり現地を見ていただくことが御理解をいただく早道だというふうに思っておりますので、そうした現地調査もこれからしていただくように取り組んでまいりたいと、このように考えております。




<要望>
 最後ちょっと要望をさせていただきたいと思いますけれども、例えばこちらにいらっしゃる杉本委員が本会議で質疑をなされていたときに、知事が最後に、道路を通しただけではなかなか繁栄がもたらされないというか、ちょっと、細かい言葉は忘れましたけれども、そういった意味の御発言をされていた。やっぱりこの地域が人を引き付ける魅力を付けなければなかなかその発展はおぼつかないというようなニュアンスだったというふうに思いますけれども、一般論としてはもちろん私も理解をするところでありますけれども、やはり具体、県内市町村、私たちも御要望を伺っていると本当に様々な具体的な願いというものがあるわけです。事情も様々違うわけです。しっかりとそういう県土整備行政においては、具体的な様々な課題を知事によりこれからも御理解いただけるようにしっかりとその辺りは情報提供や、あるいは今、局長もおっしゃっていただいた現場を知事に知っていただくというようなことをこれからもしっかり取り組んでいただきたいというふうに要望させていただいて私の質問を終わります。