■ 文教常任委員会 新たな仕組みの学校づくりについて(2月28日)
<質疑一覧>
 新たな仕組みの学校づくりについて


<質疑>
 次は、新たな仕組みの学校づくりについて伺いたいと思います。
 まず、新たな仕組みの学校づくりの検討を始めるに至った経緯について、簡単に御説明ください。

<答弁> 県立高校改革推進担当課長
 県立高校の中には、生徒が授業にまじめに取り組んでいないなど、課題のある学校がございまして、こうした学校では中退者も数多くございます。こうした学校への入学者の多くは、高校入学前の学力が十分に身に付かないまま高校に入学して授業内容を十分に理解できないことから、高校入学後に学習に興味が持てなくなって、学ぶ意欲が低下しているといった問題意識が私どもにございます。学ぶ意欲を高めることができないことが自信喪失や将来の目的意識の低下、さらには有意義に高校生活を送ろうとする意欲の低下にもつながっているのではないか、基本的な学力を確実に身に付けることができるように工夫をしていくことによって一人一人に自信を付けていただく、学ぶ意欲を高めることができるよう、新たな仕組みの学校づくりの検討に着手したところでございます。




<質疑>
 新たな仕組みの学校というのは、まだ明確なネーミングがされていないと思うのですけれども、昨日の読売新聞にエンカレッジ校という話が載っていました。この記事に載っている内容で理解をしてよろしいですか。

<答弁> 県立高校改革推進担当課長
 具体的な検討というのは、今後さらに詰めていく形になろうかと思いますが、昨日のエンカレッジスクールという記事は東京都での取組でございます。神奈川県では、東京都での取組も参考にはいたしますけれども、全くそのまま神奈川県で導入していくのかどうかという部分につきましても、さらに今後詰めていかなければいけないと考えております。




<質疑>
 この新たな仕組みの学校というのは、神奈川県も単位制普通科高校や総合学科高校という新しいタイプの高校をつくっていますけれども、それと同列のものと考えてよろしいですか。

<答弁> 県立高校改革推進担当課長
 県立高校改革推進計画では、生徒数の減少の対応として活力ある教育活動を展開することができるように、県立高校の再編、統合に伴い、新しいタイプの高校の設置を進めたものでございますが、私どものつくった計画のもう一つの柱といたしまして、すべての普通科高校において、一人一人の特性だとか進路希望、興味、関心に応じることができるよう、高校の特色づくりというものをさらに進めております。
 今回検討しております新たな仕組みの学校は、新しいタイプの高校とは異なりまして、これまでの普通科高校の特色づくりをより一層深めていくといった発想で位置付けているものでございます。




<質疑>
 具体的に学校の中でどういった教育展開を考えているのか、現在の検討状況について教えてください。

<答弁> 県立高校改革推進担当課長
 現在検討を進めている状況でございますけれども、新たな仕組みの学校では毎日の学習において分かっていただくということが実感できますように、例えば通常の学級定員が40名でございますけれども、20名から30名による少人数展開、生徒が授業中に集中できるように1単位の授業時間は50分が基本になっておりますけれども、それを短縮して例えば30分で実施するなど、きめ細やかな指導を行うとともに、基礎、基本を着実に身に付けていただけるように学校設定科目を独自に設定するなどの検討をしていきたいと考えております。
 また、インターンシップや貢献活動、実社会で学ぶ機会である体験学習を必修化して、社会の一員であるという自覚を高め、人間関係を構築する力や、主体的に学び、考え、行動する社会実践力を育んでいきたいと考えております。
 さらには、地域の事業所における体験活動や地域に対する貢献活動など、地域との連携を進める中で、地域ぐるみでしつけだとかマナーの徹底、他者とのかかわり合いを築き上げていきたいと考えております。




<質疑>
 先ほどの御答弁の中で、エンカレッジスクールは東京都の仕組みであって、神奈川県はそれを参考にするけれども、もっと充実したものにしたいというお考えであると理解したのですが、東京都のエンカレッジスクールは2003年度から導入して、都立高校3校を指定というふうに新聞記事にも載っていますけれども、実際に具体的な実績とか成果というのは上がっているのですか。

<答弁> 県立高校改革推進担当課長
 平成15年4月からエンカレッジスクールの取組を始めました足立東高校と秋留台高校の入学者選抜の状況から御説明申し上げますと、平成14年度の入学者選抜まで男子においては定員を満たさない状況がございました。制度導入後、平成15年度以降は秋留台高校と共に都立普通科の中でも相当な高倍率という状況になっております。
 また、中途退学率は、取組前の平成14年度では足立東高校が13%であったものが、平成17年度は7.5%、秋留台高校は平成14年度が10.4%であったものが、平成17年度には8.2%へと改善されております。
 また、両校で行っております30分授業につきましては、生徒から集中して勉強ができる、勉強が楽しくなった、30分だから眠くないといった感想が寄せられており、約7割の生徒が肯定的にとらえているということでございます。
 さらに、卒業後の進路でございますけれども、進路の確定状況が秋留台高校では、平成15年度が59%であったものが、平成17年度は74%に上がっております。また、足立東高校では、平成15年度が56%であったものが、平成17年度は75%へと改善されているととらえております。
 以上のような状況から、東京都のエンカレッジスクールにおいては実績を上げているものと理解しております。




<質疑>
 一定の実績が上がっているということで、神奈川県の取組も大いに期待をしたいと思いますが、最後にこの学校の設置に向けた今後のスケジュールを教えてください。

<答弁> 県立高校改革推進担当課長
 新たな仕組みの学校づくりにつきましては、現在最終的な調整作業を進めている状況でございます。対象校につきましては、当面数校、2、3校程度を考えておりますけれども、これは新年度の早い段階までに選定して発表してまいりたいと考えております。その段階で、教育内容につきましては、対象となった高校と教育委員会が一緒になって、それぞれの高校に合った具体的な方策につきまして検討を行ってまいりたいと思います。
 また、新たな仕組みのスタートの時期でございますけれども、できるだけ早期に実施できるよう作業を進めてまいりますが、中学生への周知の期間等もございます。これらを勘案しながら教育委員会と対象となる学校で検討してまいりたい、調整してまいりたいと考えております。




<要望>
 新たな仕組みの学校は大変すばらしい取組だと思うのですけれども、これがうまくいくかいかないかというのは一にも二にもそこに赴任する先生かなと思うのですよ。はっきり言ってただ高校の勉強を高校生に教えるようなことだけでは済まない学校だから、先生によってはこの学校に行ってくれということで辞令が出たときに、何か外れくじを引いてしまったみたいな気持ちになる人も当然いると思うのです。自分は分数の割り算を教えるために高校の数学の先生になったのではないというお考えの方だっているわけでしょう。