■交通・地域活性化特別委員会 バイオマスエネルギーについて(平成18年10月2日)
<質疑一覧>


<質疑>
 次は、バイオマスエネルギーについてお伺いしたいと思います。
 まず、神奈川県バイオマス利活用計画、これは平成17年3月に定められたものがあって、2010年には、炭素量換算で4万9,674トンという目標がありますが、資料中のデータで見ますと、これは発電と熱利用に限ってのことだと思いますが、発電が0.74万キロリットル、熱量が0.06万キロリットルというふうになっております。これは単位が違うので、私などが見ても、その目標値と比べてどうなのかというのが分からないんですが、分かりやすく説明していただけますでしょうか。

<答弁> 環境計画課長
 神奈川県バイオマス利活用計画では、重さだけで目標を定めておりまして、平成15年度は県全体の発生量が183万トンであるのに対しまして、県全体での利用量が57.4万トン、堆肥等の生産量が27万トン、こういうふうな重さで出しております。それを目標年次の平成22年度には170.6万トンが県全体で発生すると予測しておりまして、そのうちの県全体の利用量は64.7万トン、堆肥等の生産量は30.5万トン、こういうふうに計算してございます。これの熱量換算という話になりますと、かなり複雑怪奇になっておりまして、申し訳ありませんが、現在、数値を持ち合わせておりません。




<質疑>
 分かりました。私は2010年度の目標と現状との開きが知りたかっただけなので、今の答弁で結構です。
 それで、いわゆる畜産廃棄物というのがございますね。これが今、どの程度活用されているのかというのを伺いたいんですけれども、ちょっと古い情報になるかもしれませんが、日本全体で、例えば家畜排泄物などの畜産廃棄物というのは、年間約1億トン前後と。これが廃棄物全体の約2割に相当するんだというお話を伺っているんですが、神奈川県においてはどのぐらいのものなのか分かりますか。

<答弁> 畜産課長
 神奈川県の家畜排泄物の発生量は、年間で36万3,400トン出ております。そのうち、今家畜排泄物法というのがございまして、適正処理を進めなければいけないということで、神奈川力構想・プロジェクト51の中でも、堆肥化率というのを挙げさせていただいております。その中では、30万7,200トンが堆肥化の方に行っていると。率でいきますと、84.5%というふうな状況になってございます。




<質疑>
 分かりました。神奈川の場合、堆肥化率が高いのかなという印象を受けましたけれども、例えばそれ以外の利用、この畜産廃棄物なんかを使って、いわゆるバイオガスというのを作ったりしますよね。そのバイオガスを使ったコージェネレーションなんていうのも、国内外で行われているというのを聞いているんですが、本県ではどういう状況になっていますか。

<答弁> 畜産課長
 多分、委員のお話はメタンの関係になるかと思いますけれども、現在、県内でメタンを作っているところはございません。
 国内におきましては、例えば北海道や九州など、どちらかというと処理の終わった液肥と称するものを散布できるような、広い土地がある地域で主にやられているという状況でございます。




<質疑>
 広い土地があったりとか、また畜産が盛んだったりとか、いろいろ要素があると思うんですけれども、国として、そういう政策を積極的に支援するということはないんですか。

<答弁> 畜産課長
 一応、バイオマス関係を進めていこうという大きな方向性はございます。そのほかに、食品のリサイクル、それから堆肥化につきましても、同じように法律がありますけれども、要するに利活用を図っていこうという方向がございます。そういうものについて、例えばある程度の集団で取り組むとなりますと、国の助成事業ということでメニューは用意してございます。




<質疑>
 今の御説明だと、畜産廃棄物を活用したコージェネレーションシステムとかそういったことに関して、神奈川県としては積極的に進める予定はないということで考えて良いですか。

<答弁> 畜産課長
 家畜排泄物からメタンガスを作る、いわゆるエネルギー化ということについては、かなり古い時期からございました。一番早い時期では昭和30年代に主に熱源ということで取り入れたところから始まってございます。
 神奈川県におきましても、昭和56年度から58年度、当時の畜産試験場で研究してございまして、神奈川方式の無希釈・高有機物負荷メタン発酵というのを開発しまして、特許まで取ったわけですけれども、実際、こういう処理につきましては、かなり広い土地が必要になるということになります。神奈川県のように土地が狭い場合、液肥をまいた後の処理が問題となります。
 基本的に、家畜のふん尿は毎日出てくるものですが、固形物は堆肥化の方向になっていますし、液状物については浄化処理という、これも水質汚濁防止法の規制に基づくものでございます。
 こういうふうな中で、一時期、こういう処理をやってエネルギーを取ろうということでやってみたんですけれども、やはり最後は堆肥化なり、それから浄化処理、両方の処理を組み合わせなければならないということで、残念ながら本県向きではないというふうな状況でございます。




<質疑>
 続いて、いわゆる農業廃棄物についてもお伺いをしたいと思います。
 先ほど、馬場委員の質疑の中でバイオエタノールの話が出てきましたけれども、例えば、廃木材、紙、樹皮、稲わら、そういうものを原料にしてバイオエタノールを作ることが行われていると聞いているんですが、まず、農業廃棄物の資源化というか、エネルギーに変えていく取組はどこまで進んでいるのか教えてください。

<答弁> 農業振興課長
 農業廃棄物をどのように使っていくかということに関しましては、例えば、農業廃棄物を生ごみと一緒に処理されているという実例等はございますけれども、国の研究機関におきましては、いわゆるセルロースからエタノールを効率的に抽出するかという製造技術の開発を中心に、現在、研究中ということで承知してございます。




<質疑>
 バイオマスというと、例えば木質系の資源だとか、それと同様に農業廃棄物なんかをイメージするんですけれども、具体的に、例えば神奈川県で農業廃棄物を活用しているような事例はありますか。

<答弁> 農業振興課長
 県内の農業の生産活動から排出される廃棄物でございますけれども、廃棄物と言って良いのかどうか分かりませんが、稲わらやもみ殻ですね。あるいは野菜等を出荷する前に作業して、例えばキャベツですと一番外側の外葉などというのは取り除かれて廃棄物になると。あるいは果樹などはせん定作業を行いますので、その枝等が廃棄物として出されてくると。
 県内におきましては、これらすべてを土づくりのために堆肥化して使っていこうということを基本に考えてございまして、特に事例等はございません。




<質疑>
 それでは、他県において何か事例はありますか。

<答弁> 農業振興課長
 先ほど、ちょっとお話をいたしましたけれども、他の生ごみ等と混ぜて、その中に一緒に入れて処理しようということはございますけれども、農業系の廃棄物の場合、どうしても米の刈入れ時期など、一斉かつ大量に出てしまうという性質がございます。エネルギー源として使うためには、コンスタントに安定的に出てこないと非常に使いにくいという問題がございますので、そういった意味では、全国的に見ても先進的に取り組まれている事例というのは承知してございません。




<質疑>
 次に、今日いただいた資料の中で、京浜臨海部でDMEというのは、何となく分かるんですが、バイオマスについても京浜臨海部で取組が行われていると記載されております。特に食品バイオマスの活用というのがあって、これはもちろん京浜臨海部だけではなくて、全県的な課題だと思うんですけれども、何でこの京浜臨海部でこうした取組が行われているのか、御説明をお願いしたいと思います。

<答弁> 京浜臨海部活性推進課長
 これは京浜臨海部の産業の再生、活性化という観点からの取組ということがございます。京浜臨海部の産業の集積ですとか、あるいは研究機能の集積、こういうものを活用するということで、京浜臨海部にはどんな産業が良いだろうかということでいろいろ議論いたしました。
 平成15年度の京浜臨海部再生会議からの報告書の中で、一つにはロボットシステム、それからゲノム、バイオ、それからもう一つがエコとエネルギーということです。京浜臨海部は御案内のとおり、エネルギー産業、それからエネルギーに関する研究機能が集積しておりますし、エネルギーの供給拠点の一つであります。同時に、エネルギーの大消費地の近くということでありまして、新しいエネルギー産業を創出するのにふさわしい地域であるということから、こういう事業を始めているということでございます。




<質疑>
 この資料の文面を読みますと、食品廃棄物等のバイオマス資源を活用し、エネルギーとして供給するビジネスモデルの事業化の可能性について検討を行っている、という記述もありますし、何か平成15年度から3年間にわたって、このビジネスモデルの調査を行っているということでございますけれども、今までどういう調査を行ってきたのか教えてください。

<答弁> 京浜臨海部活性推進課長
 まず、平成15年度でございますけれども、NEDO、独立行政法人新エネルギー産業技術総合開発機構から補助を受けまして、食品廃棄物を広域的に収集して、メタン発酵により、メタンガスを抽出する。電気、熱に転換して、電気事業者などにその電力や熱を販売するというビジネスモデルを行いました。
 それから平成16年度、やはりNEDOの補助金を受けまして、メタン発酵と、それから風力、太陽光エネルギーを組み合わせて発電、発熱を最適に制御するという、こういう実験を行いまして、その電力や熱を、一定の区域の様々な施設に安定的に供給するというビジネスモデルの検討を行ったということでございます。
 それから、平成17年度ですけれども、利用範囲を拡大することを目的にして、バイオガスを天然ガススタンドに置いて、天然ガス自動車に供給していく仕組みの検討も行ったということでございます。




<質疑>
 分かりました。例えば畜産廃棄物だとなかなか難しいというふうに御説明いただいたメタンの利用というのも、食品廃棄物を使う方向では進められていると理解をしましたけれども、これは事業化の目途というのはついているんですか。

<答弁> 京浜臨海部活性推進課長
 資料に記載のとおり、事業化の観点からいろいろ検討を行ったわけでありますが、プラントの設置場所等がなかなか確保できないということのほか、食品廃棄物は食品加工場、スーパーやコンビニなどの事業所系の食品廃棄物の安定的な確保が難しいとか、あるいは初期投資が大きくなってしまうとか、そういう理由からなかなか具体的な事業化には至っていないという現状にございます。




<要望>
 京浜臨海部での新しいエネルギーの活用ということで、この京浜臨海部というのは、神奈川県のラボラトリーというような機能も持っている地域だと思うんですけれども、そういった京浜臨海部での成果というのを、全県へ広げていくことが重要だと思います。食品廃棄物のエネルギー化というのは、ビジネスモデルとして成立させるのがなかなか難しい部分もあると認識いたしましたが、やはり都市部を抱える神奈川県のような地域には非常に大きなテーマだとも思いますので、様々な地区で事業展開できるようなモデル的な事業ができるように、是非取組を進めていただきたいというふうに思います。
 また、先ほどお尋ねをいたしました畜産廃棄物や農業廃棄物のエネルギー化ということについては、私の記憶が間違っていなければ、たしか2001年、国がバイオマス元年というふうに位置付けて、それからある意味では積極的に進めてきたのかなというふうに思うんです。しかし、今日の資料を見ると、なかなかそう簡単にいかないものなんだなというふうにも思いました。
 これから、このバイオマスの利活用ということを、現実的に可能なものとするよう研究を進めていただいて、なるべく実用化が図れるように取り組んでいただきたいというふうに思います。以上要望いたしまして、私の質問を終わります