■文教常任委員会 教育技術や指導方法の共有化について(平成18年8月17日)
<質疑一覧>


<質疑>
 私からは、まず学校の先生方のスキルアップをどのようにやっていけばいいのかということについて、幾つか質問をさせていただきたいと思います。
 いわゆる授業の達人と言われる先生を何らかの呼称をもって顕彰し、その技術を多くの先生方に学んでもらったらどうかということは、私たちの会派でも様々な機会を見て提言をさせていただいてきたところであります。先日8月5日付けの読売新聞の教育原論というコラムで、教育技術だとか指導方法を多くの先生方が共有できるように、インターネットで公開し合う取組が紹介されておりました。
 教育の世界では大変有名な先生が、教育技術の法則化ということで、だれもが優れた教育の方法にトライすることができることを目指していると聞きましたけれども、学校の先生というのはどうやって自分のスキルを向上させていくのかなと思うわけです。
 一般の企業であれば、OJTという考え方もしっかりと定着しているわけですけれども、私は教育の現場に携わったことがないのでよく分からないのですが、学校の先生というのは学校を卒業して教員の資格を取り採用されて、それぞれの教室が自分の現場になって、そこはある意味で不可侵というか、なかなか一般の企業のように直属の上司がいつも自分の仕事ぶりを見て評価をしてくれるということが余りないのではないかと思うのです。そういった中で、先生方がどうやって自らのスキルを向上させていくのか。
 先生方のスキルアップというのは、大変重要な課題になっており、当然、教育の質の向上にもつながることだと思いますので、優れた教育技術の共有化について、県として何らかの具体的な措置を講じているのかということも含めて質問をしたいと思います。
 まず、総合教育センターは先生方のための様々な研修の場となっていると思いますが、教育の質を上げるために先生方の指導力の向上は大変重要だと考えるのですが、センターではどういった考え方で研修を行っているのかお伺いしたいと思います。

<答弁> 総合教育センター所長
 教員に必要とされる資質・能力というのは、いろいろな考え方があると思いますが、私どもとしては、第一に教育者としての使命感は必ず必要だろうと、また、社会性あるいは対人関係能力も重要な要素でありますし、ましてや学校の教員ですから、人間の成長発達についても深い理解が大変重要なことだと思っています。さらには教科という部分がございますので、教科としての専門性というものも大変重要でございます。こういったことを基盤として、実践的な指導力を向上する必要があるというふうに考えてございます。
 そういったことを目的といたしまして、総合教育センターでは研修を行っていると御理解いただければと思っているわけでございます。
 総合教育センターの中で、いろいろな講座がございますけれども、私どものコンセプトにさせていただいているのは、社会的な視野を広げるという考え方です。それから実践的な指導力を高めること。さらには子どもの理解を深める。これら三つのコンセプトで研修体制を決めさせていただいて、幅広い視野と確かな学力と指導力を持つ教員の育成というのを考えて研修を行っているところでございます。




<質疑>
 今、総合教育センターにおける様々な研修の取組について御説明いただいたわけですけれども、一方で、先ほど私がOJTと申し上げましたけれども、例えば学校現場で先輩の教師が後輩に対して自分の持っている技術を伝え教えるといったことも含めて、スキルアップにつながる人材育成が必要だと思います。総合教育センターでは、そうした取組、支援というのを行っているのでしょうか。

<答弁> 総合教育センター所長
 センターで行う研修は重要ですが、一方で、やはり職場での研修というのも大変重要な要素だと思っております。
 いわゆるOJTを学校の中で取り組むということであれば、職場での研修、研究という場を多く設定していただくというわけですけれども、センターとしては、そういうものの手助けとして、昨年、「校内研修ハンドブック」を作成して、学校の方に配布させていただいてございます。
 また、このハンドブックの活用の仕方ということで、これも昨年でございますが、校内研修の持ち方や進め方等についての講座を設定しまして、各学校からおいでいただいた先生方に研修を実施したところでございます。
 さらに、学校で研究・研修が行われている場合に、研修指導主事を派遣いたしまして、お手伝いをさせていただいたり、場合によっては講義をしたり指導・助言をしているところでございます。




<質疑>
 スキル向上のための職場での研修は、だれがどういう形で行っているケースが多いのですか。

<答弁> 子ども教育支援課長
 基本的には、学校の中にいろいろな分掌がございますので、その中で研究部というようなものをつくっている学校もございますし、また、指定研究等を受けた場合には、いわゆる研究主任が推進を図ります。あるいは、各学年単位で日常的に実施しているようです。




<質疑>
 先ほど私が申し上げた教育技術や指導方法の共有化ということですけれども、これについて総合教育センターでは何らかの取組はされてますか。

<答弁> 総合教育センター所長
 このことも大変重要なことだというふうに考えてございます。そういう考え方に立って、教育技術あるいは子どもの指導方法についての情報は、私どものホームページに掲載させていただいてございます。さらに、優れた取組をしている先生方を直接講座の講師にお招きして、先生方に紹介するということも各講座の中でも行ってございます。
 さらには、私どもの方で研究発表大会というのを年に1度持ってございまして、この中で、優れた取組等を発表していただくことを行っております。
 また、昨年からは、教材・教具コンテストというのもセンターの方でさせていただいておりまして、日ごろ先生方がそれぞれ研究した成果、あるいは優れた教育技術を応募していただき、一定の選考をした上で、表彰するものでございます。さらに、その結果を学校の方に周知するというようなこともございます。




<質疑>
 今、お答えいただいた講座や研究発表大会の参加者はどのぐらいいらっしゃるのですか。

<答弁> 総合教育センター所長
 今年の状況で申し上げますと、450名が研究発表大会に来ていただいてございます。




<質疑>
 その数字が多いのか少ないのか、私には判断ができないのですけれども、恐らく現場の先生方は日々どうすれば子どもたちに、より深く理解してもらえるのだろうかとか、いろいろな悩みを抱えながら現場で教えられていると思うのです。
 ところで、インターネットの活用というのも、先生同士が様々な成功体験を知ることができて大変有益だと思います。ただ、一方的に情報を流すだけのものであると、なかなか広がりも生まれてこないかと思いますので、できれば先生方がそのサイトの中で様々な意見を交換したり、情報交換ができるといいと思うのですが、そういったことはなされているのですか。

<答弁> 総合教育センター所長
 現在はないわけですが、昨年までの取組で、特殊教育関係でそういったサイトを設定していたことがございます。総合教育センターのホームページ上で、そういう形では現在、取り組んでございません。




<質疑>
 神奈川県でも、先生方が様々な情報交換ができる仕組みができたらいいなと思いますので、そのあたりもしっかり力を入れていただければと思います。
 一方で、小・中学校において、教育技術や指導方法の共有化について、どのような取組が行われているのか教えていただきたいと思います。

<答弁> 子ども教育支援課長
 各小・中学校には、それぞれ学校教育目標というものが必ず設定されておりますので、そうした学校教育目標を実現することが、一つの研究テーマになろうかと思います。こうして毎年研究テーマを設定しながら、例えば国語とか算数という教科にかかわるもの、道徳や総合的な学習という領域にかかわるもの、あるいはもう少しトータルに学力向上というような研究テーマをつくって、研究部や学年を中心に進めております。
 こうした研究の中で最も大事にしなければならないのは、研究授業というものだろうと思うのです。授業を公開して、それを見て、そこから具体的に指導方法について意見をもらったり、工夫を重ねることによって同じ授業をもう少し進化させていくといったような校内研究というのが、極めて大事なことでありまして、これが日常的に行われているという実態にはないと思いますけれども、徐々にではございますけれども、各小・中学校において、こうした実践的な研究が進められていると思っております。




<質疑>
 今、小・中学校の現状について御説明いただいたのですけれども、それをこれからどのように充実させていくのか。また、どのように先生方のスキルアップにつなげていくのか、考えをお伺いします。

<答弁> 子ども教育支援課長
 教育委員会といたしましては、教員一人一人の力量を上げていくということは、次の大事な課題だと受け止めておりますので、まず、校内研究というのが非常に大切であるということをこれからも訴えていきたいと思っております。多くの学校が研究テーマを設けながら、意識的に日常的な仕事の中でそれを積み重ねていくということが非常に大事だと思いますので、こうした取組が形がい化しないように、これからも訴え掛けてまいりたいと思います。
 そうした中で、県の教育委員会といたしまして研究委託校というものをつくったり、教育課題研究を出していただいて、私どもが審査をするというような取組もさせていただいております。そうしたところの成果については、研究発表大会や会議等で先進的な事例ということで知らせていきたいと思っております。




<要望>
 インターネットを用いて情報を共有し合うことは、今の時代に不可欠なことなのかなと思うのですが、一方で、本当にすさまじい量の情報が飛び交っているわけです。その中で本当に価値あるものを見つけ出していくことは、それぞれの先生方の個人的な努力ということももちろん必要だと思うのですけれども、例えば、百ます計算の先生が、ものすごく脚光を浴びて一躍有名になりましたけれども、ああいった日本全国で行われている、また世界で行われている様々な教育的な試みみたいなものをだれかが発見し、それがウェブサイトを通して共有化されていく。そういうことがしやすい環境をつくっていくということは、非常に大事なことだと思うのです。
 ですから、神奈川県で教べんを執られている先生方は、少しでも有益な情報を常に求めていると思いますので、そういった要求にこたえられるよう、教育委員会としての取組に一層力を入れてお考えいただきたいと要望いたします。