■商工労働常任委員会(3月1日)
<質疑一覧>
 中小企業制度融資について
 商店街活性化のための情報・人材支援について
 商工会・商工会議所に対する補助金について
 中小企業新商品開発等支援事業費補助金について


<質疑> 
 私からは、まず初めに中小企業制度融資についてお伺いいたします。常任委員会の報告資料を読みますと、全国の月例経済報告では景気は回復していると、大変勇ましい書き方になっているわけですが、県内に目を転じますと県内景気は回復の動きを維持してはいるけれども、生産は緩やかな伸びにとどまっているということです。確かに個人消費の持ち直しとか、常用雇用者の減少に一定の歯止めがかかっているという明るい材料もあるのですが、県内の中小企業の状況がどうなっているかというと、当然一部には改善が見られるということもあるのでしょうけれどもまだまだ厳しい状況が続いているというのが現状だと思います。
 そこで、中小企業を金融面から支援する中小企業制度融資について、幾つかお伺いしたいと思います。まず、初めに今年度の直近の融資実績として年間融資実績の見込みについて前年度との比較、そして、主な増減理由を併せてお伺いしたいと思います。

<答弁> 金融課長
 今年度の融資実績でございますが、1月末現在の数字でお答えさせていただきます。件数で1万3,630件、金額で1,678億円余となっておりまして、これは昨年度の年間の実績1,664億円を上回っております。前年同期比で見ますと、件数で2,273件の増、前年度対比120%、それから金額で見ますと263億円余の増、前年度対比で118.6%となっております。
 今後を含めました年間の融資実績の見込みでございますが、いろいろな見方があるかと思いますが、1月末現在の前年度対比が118.6%でございますので、仮にこのまま年間118.6%で行ったと仮定しますと、1,973億円ほどになります。また、1月末現在で約10箇月経過したわけでございますが、それを12箇月に延ばしたという方式をとりますと2,013億円、率にして121%というような形になります。あくまで想定でございますが、今年度末の融資実績につきましては、おおむね2,000億円前後というような形と考えております。
 もう一点お尋ねの増減の理由でございますが、二つほど挙げられるかと思います。一つは無担保クイック保証融資の実績が好調で、当初これにつきましては300億円の融資目標を立てました。1月末現在は416億円余になっておりまして、前年同期比で245.7%と2.5倍近いということで、これが要因の一つです。もう一つが10月から実施しました原油等原材料高騰対策としてのバックアップ融資も当初は半年ということで200億円という目標を立てましたが、1月末現在の実績が324億円余ということで、これも好調な利用実績が全体の実績を伸ばした要因というふうに考えております。




<質疑> 
 次に、今ご説明を受けました平成17年度の融資実績等を踏まえて、より中小企業者に利用しやすい制度となるように、平成18年度はどういった改善を図られるのかお尋ねいたします。

<答弁> 金融課長
 主な改善としては3点ほど挙げられるかと思います。平成17年度に引き続き無担保融資の充実を図るということを主眼に置きまして、一つ目は従業員20人以下、商業・サービス業の場合は5人以下の小規模企業者を融資対象としておりました現行の小規模企業資金につきまして、対象の従業員数を30人以下に引き上げました。その場合、商業・サービス業は10人以下に引き上げ、拡大を図ってさらなる利用促進を図りたいということでございます。
 二つ目としましては今年度御利用が大変好調でございました無担保クイック保証融資の融資限度額、現在は1,500万円でございますが、これを2,000万円に引き上げることといたしました。
 三つ目としましては、売上げが減少して状況の厳しい中小企業対策としました経営安定特別資金の特別融資につきまして、県の商工会議所連合会等の要望もございまして、資金メニューの常設化を図ることといたしました。なお、この常設化と併せまして新たに信用保証協会への代位弁済保証といったものを対象としましたので、今年度以上に信用保証業務の円滑化が図られるのではと考えております。




<質疑> 
 無担保クイック保証融資の融資限度額を1,500万円から2,000万円に引き上げるということですが、このねらいについてお伺いします。

<答弁> 金融課長
 無担保クイック保証融資というのは、中小企業の中でも特に経営基盤の弱い小規模企業を対象にした融資で、無担保で迅速に融資を実行するというような目的のメニューでございます。これは従来ありました簡易保証制度の融資条件の緩和を図りまして今年度からスタートしたものでございます。お尋ねのねらいですが、昨年11月に国の経済財政諮問会議におきまして政府金融改革の基本方針が徹底され、その中で政策金融の機能として、中小・零細企業、個人の資金調達支援は継続するとされております。したがいまして、県といたしましても制度融資において今後、小規模企業に対する融資制度の充実は目指すべき方向の一つであるというふうに考えました。そこで、この無担保クイック保証融資の実績が大変好調なことを踏まえまして、平成18年度もさらに多くの中小・零細企業に御利用いただきたいというふうに考えまして、制度の改善を図ろうとしているものでございます。




<質疑> 
 大変望ましい方向に進んでいるのではないかと思います。先ほど御説明のありましたバックアップ融資は実施期間がこの3月末までとなっていますが、原油価格の高騰で売上げに影響しているというようなところを対象にということだと思うのですが、原油価格というのもピークとは言えないまでも、まだまだ高止まりということもあり、当然、中小企業の経営も圧迫しているというふうに考えられるのですが、4月以降、バックアップ融資というのはどのようになるのでしょうか。

<答弁> 金融課長
 委員お話しのとおり、確かに石油製品の原油価格等は、高止まりしているという状況であることは承知しております。しかしながら、このバックアップ融資につきましては当初予定しておりましたとおり、3月いっぱいで終了したいというふうに考えております。
 その理由でございますが、バックアップ融資は原油等の原材料高騰対策ということで、10月から3月までの6箇月間の期間限定で実施した特別融資ということでございまして、先ほど御報告しましたように1月末現在の融資実績で324億円というようなこと、3月末までこれを延ばしますと450億円前後になるのではないかと考えておりますが、昨年の7月から12月に実施しました業績回復バックアップ融資でも450億円ほどの融資を実行しておりまして、合わせますと約900億円の資金提供がされたという点が一つ。それから、もう一つ、融資利率は現在1.9%ですが、18年度につきましては、それが2.2%に戻りますが、売上高が1円でも下がっていれば融資対象とするという条件とほぼ同じ条件で常設化しました経営安定資金の中で御利用できるように改善を図っておりますので、現行のバックアップ融資につきましては、3月末をもって終了いたしたいというふうに考えております。




<質疑> 
 経営安定資金の中で対応を図っていくということだと思いますが、今、御説明があったように3月末でバックアップ融資は終了するということですが、これは平成17年度の途中で原油高という状態になって、それに対応するための制度としてつくられ、期間が短かった割には御説明があったように、大変な利用実績がある融資ですよね。平成18年度も原油高かどうか分かりませんけれども、どんな事態で経済環境に変化が起きるか分からないというふうにも思うのですが、このバックアップ融資のように、ある意味機動的な金融支援というものを、経済環境に大きな変化が生じた場合は、また図っていくというふうに考えてよろしいのでしょうか。

<答弁> 金融課長
 ここ2年ほど業績回復バックアップ融資、それから原油等原材料高騰対策バックアップ融資というものを実施してまいりました。平成18年度の対応ですが、今、委員からお話しのとおりの考え方で臨みたいと考えております。18年度も同様のスタンスで中小企業を取り巻く経済環境、経営環境に大きな影響を与えるような事象が起きた場合には、そのタイミングを逃すことなく、できるだけ機動的に迅速に金融支援を実施して、県内の中小企業等の資金ニーズにこたえていきたいと思っております。




<質疑> 
 中小企業の経営者にとって経営が安定しているということは最も重要なことであると思います。今後も県内中小企業の経営革新のためにも、金融支援策としての中小企業制度融資の充実・改善にさらに取り組まれて、18年度も今年度同様約2,600億円の準備があるということですので、余さず利用してもらえるように、しっかりと取り組んでいただきたいと要望させていただきます。
 次の質問に移ります。
 次に、商店街の活性化のための情報ないし人材支援ということについてお尋ねしたいと思います。今年度、この常任委員会の中で商店街、そして、個々の商店の活性化をどのように図っていくのかということで、何度か質疑をさせていただきましたけれども、商店街というのは言うまでもなく地域商業の中心で、また、地域コミュニティの核でもあるということで、大変にその存在意義というのは大きいものだと思います。ただ、現状、景気は回復基調にあるといっても、依然としてほとんどの商店街が厳しい状況に置かれている。そういった中で、商店街ににぎわいを取り戻すためにはどうしたらいいのかということで、当の商店街も考えているし、また、行政側もいろいろなことを考えているわけですけれども、その中には直接的な補助もあれば、情報とかノウハウをその商店街の皆さんに提供するということもあると思うのですね。
 商店街が情報を集めて、それをどのように活用していったらいいのか、また、商店街を何とか盛り上げてもらえるような人材にどうすればめぐり会うことができるのかということもあると思います。今回は情報でありますとか、人材といったことに関して県がどういった支援ができるのかということについて、何点かお伺いしたいと思います。
 まず、いろいろな商店街が活性化に向けて試行錯誤をしている中で、うまくいって活気があり、またにぎわっているという商店街も幾つかあると思うのですけれども、そういった成功事例についての情報提供が県内の商店街に対して、どのように行われているかということについてお伺いいたします。

<答弁> 商業観光流通課長
 成功事例の紹介として、商店街競争力強化基金による成功事例をまとめまして紹介しております。例えば具体例として洪福寺松原商店街の空き缶回収機・エコパック政策、それから天王町商店街の子供向けイベントなどを取り上げております。また、(財)神奈川中小企業センターの方では「商店街コミュニティ活動事例集」ということで、事業別に取組事例を紹介しております。その中では菊名西口商店街の子育て支援施設導入事例、それから小田銀座商店街の健康相談事例等を紹介しております。また、(社)神奈川県商店街連合会の方ではホームページで活性化事例を紹介しておりまして、例えば元町エスエス会のチャーミングセールや大口通商店街の納涼夜店などを紹介しておりますし、また、商店街新聞というのを出しておりまして、そこでもいろいろな形で事例を報告させていただいております。




<質疑> 
 わざわざ私の地元の保土ケ谷の事例も入れていただいてありがとうございます。そういった写真とか文字を使った情報というのももちろん大事だと思うのですけれども、商店街体験ツアーなどで実際に行って目で見たり、当事者の話を聞いたりするという試みもなされていると思うのですが、その辺の反響というのはどうですか。

<答弁> 商業観光流通課長
 いろいろな機会で商店街のツアーとか、商店街の人たちに他県の方に、例えば東京都とかいったところに行っていただくような機会を何度かつくっております。例として挙げさせていただきますと、私どもで商店街の様々な御要望におこたえできるような専門家派遣の商店街振興アドバイザー派遣事業というのを実施しておりますけれども、そうした中で模範例などをよく知っているような専門家がおりますので、そのアドバイザーを使って平成17年度に2件、他の商店街の視察ということで行なっていただいておりまして、一つは上町商盛会の方が東京の戸越銀座の方へ視察に行ってもらったり、それから、藤沢のプチモールひがし海岸協同組合の方が平塚のサンロードあさひ商店会といったところへ行っていただいております。
 それから、商店街ツアーにつきましては、自分たちで行っていただく以外にも、自分たちのところに逆に消費者の方を招いて来ていただくような形でも実施しておりますけれども、いずれにしてもこういったことはいろいろな機会をとらえて、やはり成功事例を見ていただくということは励みになると思いますので、そうしたこともやっていきたいと思っています。




<質疑> 
 商店街体験ツアーというのは商店街の人が別の商店街を見に行くのではなくて、消費者が商店街をいろいろ歩いてということなのですね。

<答弁> 商業観光流通課長
 私どもで言っている商店街の体験ツアーというのは、後半の方で申し上げましたように消費者の方々も含めて外の目から見て、商店街のどこがよくない、どこがいいかということをやっております。それから、委員がおっしゃられたように商店街の人たちが別のいいというようなところに行くというような、これは商店街体験ツアーとは言っておりませんけれども、そういった形もやらせていただいております。




<質疑> 
 今、商店街体験ツアーのお話をさせていただいたのですけれども、それ以外にも例えば商業者だけではなくて地域の方々が参加したり、協力したりする、そういった取組事例というのもあると聞いているのですが、どんなことがあるのでしょうか。

<答弁> 商業観光流通課長
 商業者の関係だけでもいろいろな方々と先進事例を集めた勉強会等も行っております。それから、地域の方々に参加していただく取組ということで、自分のお店で何が一番いいのかという一店逸品運動というのをやっております。平成15年度に横須賀市の中心市街地ということで「よこすか逸品カタログ」というのを作成して、市内全戸に配布して、ホームページでもPRしているというようなことをやっております。
 平成16年度からは参加希望店の逸品調査発掘を行い、さらに関東学院大学生と逸品の開発等も行い、それをもとに市民、消費者が選ぶ逸品大賞ということも実施しております。それから、元住吉・オズ通り商店街では逸品の選定に当たって店主の意見でなく、商店街体験ツアーを実施して、地域の方々に参加していただくというようなことをやっております。




<質疑>
 今、2007年問題ということが言われていますけれども、団塊世代の方々が退職の時期をこれから迎える。民間会社をうまく再編させた人ですとか、まちづくりをうまく成功させた人といった有能な方々がこれから地域に帰ってくるということが予想されるわけですけれども、そうした方々を発掘して活用していくということも、地域にとって意味のあることだと思うのですが、そういった仕組みというのは考えておられるのか。また、実際にやった事例というのはあるのでしょうか。

<答弁> 商業観光流通課長
 これからいろいろな技能や知識を持った方々が大量に出てこられますので、実際、そういった方々と私どもは何度かいろいろな会議等で会いますけれども、まず、事例としては経営やITなど各分野で実績を積んで、知識、ノウハウを持った方がおりまして、このような人たちを商店街振興アドバイザーとして商店街に派遣しているという、実際の団塊世代のノウハウを商店街の活性化に生かしている事例がございます。私たちもこういった事業を推進していきたいと思っております。NPO法人湘南ふじさわシニアネットというのがございまして、これは企業をリタイアした方々が保有する知識、ノウハウを生かして、地域の産業の活性化につなげていただくということで、IT関係に非常に詳しい方がいらっしゃいまして、藤沢市商店街連合会の43商店街、1,712店のホームページの制作に携わっていただいているという形で支援している事例がございます。




<質疑>
 私はこの質問の冒頭で申し上げたように、商店街の活性化に対して様々な取組を実施していくためには、活動を支える人材づくりが大変重要だというふうに思います。この人づくりに対する県の施策についてはどんなことがありますか。

<答弁> 商業観光流通課長
 商業者同士の出会いの場といたしまして、生活産業フォーラムというのを私どもは実施しておりまして、これは異業種の方々に集まっていただいて、毎回テーマを設定してセミナーとか、いろいろな形で勉強会をさせていただいて、その後に懇親会、そして情報交換するということをやっております。これを通して川崎で育てた米で川崎のブランドの酒をつくるという「川崎酒遊倶楽部」、糖尿病改善のための低カロリー和菓子を開発する「彩の会」、アトピーの人たちでも食べられるようなケーキづくりとして「アトピッコケーキ研究会」などが生まれております。
 また、川崎市多摩区の登戸東通り商店会では、新たに「おかみさんの会」の立ち上げを希望しているということを伺っておりましたので、そのためのアドバイザーとして女性の中小企業診断士を研究会に派遣するとともに、新たに活動を始めるようなところにその方を派遣して支援するというようなことを今後ともやっていきたいと思います。




<質疑>
 今、生活産業フォーラムというお話が出ました。いろいろな試みがあって商業者同士が出会う場所というのを用意されているということなのですけれども、恐らく数ある商店街のうちの本当に一部の方々の参加にとどまっているのではないかと、大体後継者がいないとか、今さら何をやってもしようがないというあきらめの気持ちといったところが実際には多くて、なかなかそういうところにアクセスするというところまでいかないのではないかなというふうに私は思うのです。神奈川県はいろいろなメニューを用意されていると思うのですが、そういったことに少しでも多くの商店の方々がアクセスするために、どういう工夫が考えられるのか、そのあたりをお伺いします。

<答弁> 商業観光流通課長
 なかなか本当に難しいことだと思っておりますけれども、まず、一つは地道に商業に関係するような機関を使って事業紹介をさせていただくとか、そういったところで様々な広報媒体を持っておりますので、協力しながら地道な作業を進めていくとともに、例えば幾つか新しい試みをするような場合、公募したりして興味を引きながら、知恵を絞りながら参加していただくというように、いろいろな角度からやっていくのが必要なのかなと思っております。




<質疑>
 是非、頑張っていただきたいと思います。
 この質問の最後といたしますけれども、NPOとか市民団体との連携も大変これから重要になってくると思うのですが、平成18年度に何かそういった取組があるのかどうか教えてください。

<答弁> 商業観光流通課長
 今後、商店街が生き残っていくには、地域との連携をいかに深めていくかということが重要だと思っておりまして、そういった意味ではNPOとか学校といった地域の活動主体と一緒になって、モデル事業をやっていくというようなことが重要だと思っております。平成18年度は6商店街を対象に、NPO、それから学校等を選定したモデル的な事業を実施して、商店街の持つコミュニティ機能の充実強化を図ってまいりたいと思います。この6商店街についてはできれば公募という形で募っていきたいと思っております。




<質疑>
 それでは、要望といたしますけれども、例えば私の地元の商店街を見てもいわゆる物販店が廃業して、その後、どんどん飲食店が増えているとか、商店街によっては大変業種のバランスが悪くなっているところがあるのですね。商業ビルで例えばあるテナントが撤退したということであれば、次にどういった業種の店を入れるのかというような戦略を考えることもできるし、また、それをプロデュースする人間もいると思うのですけれども、これがなかなか商店街では難しいということがあると思います。
 ただ、商店街も商業ビルをちょうど平面にしたようにとらえ、エリアとしてプロデュースしていくということが大変重要だと思うのです。先ほど申し上げたような民間で様々な商業的な試みを成功させた人ですとか、そういった方々を広く県も一生懸命探していただいて、そういう方を何とか商店街の振興に役立てていくということに取り組んでいただきたいというふうに思うのです。とにかくタクトを振れるというか、プロデューサーが大変大事だと思いますので、そういった人材の育成とまた同時に情報の提供ということについて、より一層の商店街に対しての支援を進めていっていただきたいというふうに思います。
 それでは、次の質問に移ります。
 先ほどから商工会とか商工会議所ということが出ておりますけれども、商工会、商工会議所に対する補助金について幾つかお尋ねしたいというふうに思います。今回、平成18年度の県の施策を見ますと、商工会・商工会議所地域振興事業費補助というのがありまして、約19億円計上されているというふうに思います。言うまでもなく、商工会、商工会議所というのは地域経済を支える商工業者への支援のほかにも、地域経済の活性化に向けた事業を様々実施している総合経済団体としての役割を担っています。国、県においても、今、申し上げたような様々な財政的な支援も行ってきたというふうに承知しているところです。また、近年、少子・高齢化や情報化の進展等による消費者ニーズの変化というのもあると思います。さらには、先ほども話が出ましたけれども、大規模店舗の進出によって商店街が衰退しているということもあって、大変商工会、商工会議所を取り巻く環境も大きく変わってきているのだなというふうに思います。
 こういった状況に対して、必ずしも有効に対応ができていない、対処ができていないという面もあると思います。そこで、現在、商工会や商工会議所に何が求められているのか。そして、それに向けて県として商工会や商工会議所に対しての補助金をどういうふうに考えていったらいいのか、また、見直していったらいいのかということについて幾つかお伺いしたいと思います。まず、初めに商工会や商工会議所というのが地域の中でどういった活動を行っているのか、確認の意味でお伺いしたいと思います、

<答弁> 金融課長
 主な事業内容でございますが、商工会、商工会議所、両者に共通するものといたしましては商工業に関する経営や金融などの相談指導、行政視察、会議所等の機関誌を使って周知する情報収集提供、事業者の要望アンケートあるいは新商品開発といったような調査研究、経理やパソコンなどを使った講習会の開催、行政に対する意見具申等がございます。さらに商工会議所におきましては商工会議所特有のものとして、商工業者が海外へ製品を輸出する場合に必要な原産地証明業務、こういったものも行っております。
 主な業務となっておりますのは商工業に関する相談指導でございますが、これは中小企業の中でも小規模の経営者等につきましては、自ら従業員となって働いているということで、なかなかそういった情報、それからスキルを身に付けるいとまがないということで、商工会議所、商工会で専門の技術、知識を持った経営指導員というものを配置して、経営相談といったものを行っているということでございます。




<質疑>
 県としてそういった商工会や商工会議所の事業に対して、どういった支援を行っているのかお伺いいたします。

<答弁> 金融課長
 国の小規模事業者支援促進法という法律に基づきまして商工会、商工会議所を通じまして小規模事業者への経営の改善発達を支援するということで、経営改善普及事業に必要な経費に対して支援することになっております。県におきましてもこの法律の趣旨に沿いまして、経営指導員等の人件費補助あるいは講習会の開催費、研修参加費、こういったものの事業費補助を行っております。
 具体的には19の商工会と14の商工会議所及び二つの連合会、こういったものに対しまして経営指導員等を配置しておりますので、これら指導員の人件費補助、また事業費ではいろいろな講習会開催費、研修参加費、さらに提案型の地域活性化事業に対する補助等を行っております。金額につきましては、平成18年度は19億612万円ほどの予算措置をお願いしているところでございます。




<質疑>
 今、御説明いただいたように商工会とか商工会議所というのは、地域の商工業者に対して様々な支援を行っているにもかかわらず、聞くところによりますと年々、会員が減っているということがあるということでございまして、私の知り合いも商工会を抜けたと、余りメリットがないのだというふうに言っておりましたけれども、県としては商工会ですとか商工会議所が抱えている課題をどういうふうに認識されていらっしゃるのでしょうか。

<答弁> 金融課長
 商工会、商工会議所が抱えている課題として、大きく分けて2点あると思います。一つは今、委員のお話にもありました組織率の低下と、それに伴う財政状況の悪化があります。もう一つは、新たに生じてくる地域課題に対する新たな役割への期待という大きな観点が二つあると思います。
 組織率の低下と財政状況の悪化でございますが、商工会、商工会議所の組織率が低下しているということは事実でございまして、逆に会員を増強し、組織力を向上することによって、地域の総合経済団体としての力を高めていくということがまず大きな課題であると考えております。それから、組織率の低下ということは会費収入の減になりますので、活動を支える財源が減ってくるということでございます。したがいまして、逆に自主事業を積極的に取り入れて財源を確保する、こういった観点も必要かと考えております。
 もう一点の新たな役割への期待ということでございますが、大型店の進出によりまして商店街等の衰退、産業の空洞化ということで、小規模事業者等が大変厳しい環境に置かれているということでございます。こういった中で、本県の経済活性化、雇用の創出を図っていくためには、従来やっておりました講習会の開催あるいは経営相談だけではなくて、地域の産業全体、さらには地域の住民をも巻き込んだ事業への取組、こういった観点でやはり地域の総合経済団体としての役割を果たしていき、地域課題に対する対応をしていくといったものが求められるようになってくるというふうに考えております。




<質疑>
 今、課長がおっしゃるように組織率が低下しているから上げなければいけないというのは、これから目指さなければいけない方向だと思うのですね。もう一つはどうすればその組織率が上げられるかというところなのですが、今、金融課長がおっしゃったようなことの中にヒントが含まれているのかなというふうにも思いますが、その課題に対応していくために、商工会とか商工会議所がどのような転換を図っていけばいいのかということがまた一つあると思います。
 もう一つ、先ほど約19億円の予算措置をお願いしているとおっしゃっていましたけれども、19億円のうち17億円程度が先ほど名前の出た経営指導員等といった方々の人件費に充てられているということで、その数字だけを見るとお金の使い道とかということに関して、若干硬直しているのかな、というふうにも思うのですね。
 県として商工会、商工会議所に対して金は出すけれども、口は出さないというスタンスであれば別なのですけれども、もし、何らかの形で県がかかわっていけるのだとすれば、商工会や商工会議所に対する補助金というのを、どういうような形で見直していけるのかということについてお尋ねしたいと思います。

<答弁> 金融課長
 今の2点の御質問は相互に関連しますので、併せてお答えさせていただきたいと思います。まず、補助金全体が19億円、そのうちの人件費関係が17億円というような御質問がございました。これは平成17年度の予算で全体の補助金額が19億2,700万円ほど、そのうち人件費が16億5,300万円ほどで、それに近いのかなと。それに対しまして、平成18年度は全体の事業費は19億600万円ほどで余り大きく変わっておりませんが、そのうちの人件費が15億1,700万円ほどということで、割合からいけば落ちております。
 先ほどの委員の御質問にもありましたように、従来は小規模企業を中心とした個々の企業に対する経営指導という個別対応的な事業が主体でございました。そのための経営指導員等の人件費がどうしても必要だったわけでございますが、今後、総合経済団体として商工会議所が地域課題に対応できる組織になっていかなければいけないということで、方向といたしましては今、商工会、商工会議所と検討を重ねておりまして、人件費補助につきましては、必ずしも正規職員ではなく非常勤でも結構ですと。その分、地域課題を解決するために必要な事業があるということであれば、その事業に使うことが可能というような弾力的な補助金にする方向で見直ししている最中でございます。




<質疑>
 次に、三位一体改革が昨年秋に第一段階の決着を見たわけですけれども、商工会や商工会議所に対する補助金について、それがどのような影響を及ぼしたのかお尋ねいたします。

<答弁> 金融課長
 平成17年度まで国庫補助は事業費、県単補助は人件費を中心といった補助体制でございましたが、平成18年度からは国庫補助金がすべて税源8割で移譲されることになりました。ただ、本県ではこの補助事業の在り方について、平成16年度から関係団体と議論を深めておりましたので、この中で方向性として、原則として移譲される事業については補助事業を継続すると、県単補助事業という形で継続するということとしております。すべてが県単補助事業になりますので、従来からあった国庫、県単の類似事業等につきましては、商工会連合会、商工会議所連合会の両連合会が地域の状況に応じて柔軟に配分できるよう、この点についても見直しを図っているところでございます。




<質疑>
 当然、中小企業支援が後退するということは、あってはいけないことだと思うのですが、この補助金について県はどういう対応をするのか。

<答弁> 金融課長
 今後、商工会、商工会議所に期待される機能や役割、こういったものを踏まえまして、必要な補助金は確保するという方向で予算編成等に臨んだ結果、おおむね補助総額は確保しつつ補助制度の見直しの方針に沿って濃淡をつけた予算となってございます。予算額的には国からの税源移譲のルールにのっとりまして国庫分は税源移譲8割ということでございますので、国庫分については削減いたしましたが、本来、それに伴って減少するはずの一般財源につきましては削減せず一定額を確保いたしました。また、今後の地域振興への役割を考慮いたしまして、提案型地域活性化事業につきまして17年度に比べ一層の充実を図り、時代の要請に合った、地域の要請に合った神奈川らしい補助制度になるように見直しを図ってまいりたいというふうに考えております。




<質疑>
 それでは、要望させていただきますが、現在の大変厳しい経済環境は地域経済にも大きな影響を及ぼしているところでありますけれども、地域の活性化にとって、地域で活躍する中小企業に対する多面的な支援が必要であると思います。商工会並びに商工会議所は、地域の総合的経済団体として中小企業の様々な期待にこたえるとともに、地域経済の発展に貢献できる魅力ある組織にならなければいけないと思います。県の支援がしっかりと効果を生み出せるような方策を今後とも講じていただきたいと思います。
 それでは、最後の質問です。
 最後に、中小企業新商品開発等支援事業費補助金についてお伺いいたします。常任委員会の提出資料の中に、中小企業新商品開発等支援事業費補助金として1億4,820万円が計上されています。制度融資についての質問の折にも申し上げたことですけれども、中小企業を取り巻く環境は依然として厳しいというのが実態であると思いますし、こうした中で、神奈川県のものづくりを支える中小企業に対する支援を図っていくということも、当然ながら重要であると思います。そこで、この助成について何点かお伺いしたいと思います。
 この資料によりますと、国の中小企業支援のための創造的中小企業振興事業補助金が平成17年度をもって廃止となったことを踏まえて、県として中小企業支援の補助事業について見直す。そして、新技術枠、経営革新枠、下請枠という三つの枠に再編・統合したのがこの中小企業新商品開発等支援事業費補助金であるというふうにありますけれども、この三つの枠、それぞれどのような特徴があるのか、分かりやすく御説明いただきたいと思います。特に資料の対象事業というところを見ると、新商品、新技術の開発及びこれに付随する販路開拓とかありますが、経営革新枠と下請枠の区別がよく分からないところもありますので、そのあたりを分かりやすく御説明いただきたいと思います。

<答弁> 工業振興課長
 新技術枠でございますけれども、これは旧創造法の流れをくむものというふうにしてつくり上げました。著しい新規性を有する技術開発を支援することを目的といたしまして、創造法に代わり県で新たに研究開発の認定制度を設けまして、この認定を受けた企業が行う新商品、新技術の開発を補助対象といたします。次にお話のありました経営革新枠でございますけれども、経営の向上を図る経営革新の支援を目的といたしまして、法律に定めがあります経営革新計画の承認を受けた企業が行う新商品、新技術の開発の場合にはこの開発に伴った販路開拓事業も補助対象といたします。三つ目の下請枠でございますけれども、神奈川県の産業を支えていただいております下請企業の支援を目的といたしまして、(財)神奈川中小企業センターの下請企業振興事業の受注登録等をしている要件を具備する下請中小企業が行う新商品、新技術の開発の場合には、販路開拓単独のものについても補助対象とするというふうな特徴付けをしております。




<質疑>
 次に、国庫補助金が廃止されたのですけれども、例えば、ほかの県でどういう対応をとっているのか、そのあたりがお分かりになれば教えてください。

<答弁> 工業振興課長
 関東各県と愛知県、大阪府等大都市、計12の都府県に聞き取りで調査させていただきました。その中で10の都府県で、方法といたしましては既存の単独の補助金の中にそういった国の廃止した事業を取り込んでいく。また、既存の補助金のない都府県にありましては、新たに単独で補助企業を起こして取り組んでいくということです。




<質疑>
 三つの枠の御説明の中に新技術枠というのがあります。その新技術枠応募の前提として、国の創造法に代わる新たな認定制度を設けるということもお聞きしているのですが、なぜ、そういう制度が必要になるのか。認定を受けた場合にどういうメリットがあるのか。また、これについても他府県の状況はどうなのか、お伺いしたいと思います。

<答弁> 工業振興課長
 お話にありましたように昨年4月の創造法廃止に伴いまして、この法律に基づいて中小企業の研究開発の認定という制度も終了してしまいました。この認定制度は中小企業が取り組んでいる研究開発がある一定のレベルにあるということを認定する制度でありまして、該当する中小企業にとりましては一つのステータスの意味合いもあり、対外的にもその中小企業が一定のレベルにあるということを示すものとして使用されていたというふうにお聞きしております。また、制度創設の要望もお聞きしておりましたので、補助金の見直しに合わせ、この機に中小企業の技術開発を促進するという目的のために、創造的新技術、研究開発計画の認定ということで、県単独で事業を起こすということにしたものでございます。
 メリットでございますが、現在のところ、今御質問をいただいております補助金の新技術枠の応募要件を満たすということと、私どもの産業技術研究所の使用料手数料減免、創造期製品化支援モデル事業という産業技術研究所でやっております事業の応募要件も満たすといった三つをメリットとして設定させていただいております。
 ほかの県の対応ですけれども、京都府が同じような対応を検討しているということはお聞きしておりますけれども、細かなことはお聞きできておりません。




<質疑>
 せっかくの補助金制度ですから、事業者としては1日も早くこの補助金を自分のところでも欲しいと、手に入れたいということを望んでいると思うのですが、年間を通じてどういうスケジュールで進めていくのか、お伺いしたいと思います。

<答弁> 工業振興課長
 補助金の交付の申請を受付けた企業は、来年3月15日までに研究開発を終了しなければなりません。ですから、1日でも早く4月以降交付決定をして、その後、研究開発に取り組んでいただくということで、交付決定をなるべく早くしたいと思っております。昨年までは国の補助金も絡んでおりました関係で、7月中旬以降になっておりましたけれども、今年は県単独でできるということで6月中旬には交付決定をして、1日も早く研究開発に取り組んでいただきたいというふうなスケジュールで進めたいと思っております。




<要望>
 せっかくの補助金制度ですから、事業者としては1日も早くこの補助金を自分のところでも欲しいと、手に入れたいということを望んでいると思うのですが、年間を通じてどういうスケジュールで進めていくのか、お伺いしたいと思います。