■はじめに

 さて、私は去る10月17日から24日までの8日間、本年度から再開された海外県政調査の制度に基づき、我が会派の議員とともにドイツに行ってまいりました。
 正味5日間という短い期間でしたが、水源環境や省エネルギー対策、環境税に対する国民世論、農村や森林を活用した観光施策といった生の情報に触れる中で、「いかに国民負担をふやさないか」を前提に増税、あるいは環境税を導入したドイツの環境税制改革と、まず「増税」ありきで新税導入を計画している本県の違いなどを考えさせられました。

 国税と県税という違いはありますが、ドイツの「エネルギー税収入の90%を年金の原資に充てて、年金保険料の軽減を図る」という、いわゆる税収中立の考え方は、我が県に当てはめれば、「あえて歳入の拡大をねらわず、既存の財政規模の中で政策を選択していく」水源環境税論議の参考になるのではないかと思います。

 本来、新税を設けてでも遂行しなければならないほどの事業は、県の懐具合にかかわらず、進めていかなくてはならないはずです。しかし、県民負担をふやさずに水源環境保全事業を進めようとすれば、そのしわ寄せで後回しになってしまう事業も出てくる。それでも、敢えてやらなくてはいけない。
 そのような「政策全体を水源保全・環境保全の方向にシフトするべきかどうか」といった切迫した選択にこそ、政治家知事の真価が発揮されるのだと思います。増税を前提に余裕の論議をしていたから、見込み額の大幅修正などという事態を招いたのではないのでしょうか。