■防災警察常任委員会(7月27日)
<質疑一覧>
 少年犯罪の抑止について


<質疑>
 最近の少年犯罪、これは非常に衝撃的なものが多うございます。長崎県の佐世保で小学校の6年生の女の子が同級生をカッターで殺害するでありますとか、また、新潟県でも小学校6年生の男の子が同級生を出刃包丁で切りつける、東京で、やはり中学生の女の子が小学生を団地の階段から突き落とすというようなこともありました。
 また、先日ニュースを見ておりましたら、女子高生2人が21歳の男性を背後から刺すような事件があって、何らかの恨みがあるのかと思いましたら、関係なかったんですね、むしゃくしゃして刺す相手を探していたと。本当に未来を担っていく少年による凶悪犯罪が多発しております。大変にこれは憂慮すべき状況であるというふうに私も思いますが、国においては、昨年青少年育成施策大綱、また犯罪に強い社会の実現のための行動計画というものを策定いたしまして、少年犯罪の抑止、また少年の健全育成を喫緊の課題として取り組むとしております。
 神奈川県におきましても安全・安心まちづくりの視点から治安対策に取り組んでおりますが、少年問題は非常に深刻な状況にありまして、その改善なくてして治安の回復というものはあり得ないといってもいいのではないかというふうに私は思っております。
 そこで、県内の少年犯罪の現状、またその取組について質問をさせていただきます。
 まず、県内の少年犯罪について、特徴や傾向があればお伺いしたいと思います。

<答弁> 少年課長
 県内の少年犯罪は、全体的には平成14年、平成15年と依然連続増加し、非行少年の検挙件数も1万人を超えて高い水準で推移しております。
 その特徴と傾向でありますが、大きく分けて3点申し上げます。その一つ目は、一層凶悪化・集団化の傾向を生じているということであります。特に昨年1年間で、路上強盗150人を検挙しており、前年より81人、率にしまして117.4%と増加しております。
 その二つ目でございますが。15歳以下の少年が、昨年1年間で5,365人と全体の50.1%を占めており、中学生と高校生が全体の73.2%を占めております。
 その三つ目でございますが、少年犯罪の大部分が、万引きやオートバイ盗、自転車盗のいわゆる乗り物盗など、非行の入り口といわれる犯罪であり、全体の70.5%を占めております。
 なお、この低年齢化の問題、非行の中心が中・高校生であること、また、非行の入り口といわれる万引きや乗り物盗などは、ここ数年同様な傾向で推移しております。




<質疑>
 今、凶悪化、低年齢化というのが特徴であるというお話があったわけですけれども、先ほど申し上げたとおりに、他県におきましては小学生による凶悪事件が発生しているということで、神奈川県内においてはそういった事例、小学生による犯罪というのは実際に起きているんでしょうか。

<答弁> 少年課長
 今年に入りまして6月末現在で申し上げますと、県下では小学生79人、これは前年度に対比しまして7人、8.1%の減少ですが、補導しております。このうち凶悪な事件といたしましては、本年1月25日、神奈川警察署の管内で小学5年生二人が倉庫内で火遊びをし、その建物を全焼させたという放火事案が1件ございます。
 また、大部分は万引き、自転車盗やオートバイ盗の窃盗や傷害事件でございます。なお、小学生の補導人員は年々増加しており、5年間の推移を申し上げますと平成11年は116人、平成12年は153人、平成13年は156人、平成14年が158人、昨年は210人となっております。




<質疑>
 小学生の犯罪がそんなに増えている、増加傾向にあるというのは私も初めて知ったわけですけれども、少年が犯罪を起こすというか犯罪に手を染める、その原因とか背景については、実は一人一人見ると様々だというふうに思うんです。しかし、犯罪を未然に防ぐためには原因とか背景を的確につかんで、そこをたたいていくということが非常に大事だというふうに思うんです。
 もし、例えば最大公約数のような形で多くの少年に共通する、そういったものがあるとすればどんなことなのかお話を伺いたいと思います。

<答弁> 少年課長
 少年犯罪の原因、背景につきましては、一概には申し上げられませんが、大きく分けまして命の大切さや物事の善悪の判断など規範意識といった少年自身の問題や、親が子供のしつけに自信が持てないといった家庭の問題、また、校内暴力、いじめ、不登校など学校にかかわる問題、インターネットや携帯電話を利用した出会い系サイトと有害情報のはんらんといった社会環境の問題、あるいは、地域におけるコミュニケーションの低下と少年非行に対する地域の抑止機能、教育力の低下の問題などが挙げられます。
 このようにして、これらの問題が複合に絡み合っているのではないかと考えております。




<質疑>
 今、命の大切さでありますとか、規範意識の醸成といったようなところで、そのあたりの子供たちに対しての教育というものが足りないというような内容のお話がありました。
 また、親とか地域とか、本来であれば子供をしつけて、また見守っていかなければいけないそういう大人たちの教育力の低下というものが、今お話の中に出てきましたけれども、警察としては、そういった子供たちに対しての教育、命の大切さ、規範意識、そういったことに対してどのような取組を行っていこうとされているのか、お話をいただきたいと思います。

<答弁> 少年課長
 現在、警察で非行防止教室の開催や少年による清掃活動、スポーツ活動などの社会参加活動などを通じまして、命の大切さや規範意識の醸成を図っております。
 また、昨年5月から少年補導員と地域ボランティアの方々と連携して、少年に対する積極的な声掛けや、少年との触れ合いを通じて規範意識、命の大切さなどを教える少年との触れ合いメッセージハートフル運動を実施しております。
 さらには、最近他県での憂慮すべき事案等を踏まえての具体的な取組といたしましては、学校警察連絡協議会とも連携しまして、学校の授業である道徳やホームルームの時間を利用し、命の大切さや善悪の判断等の規範意識をはぐくむ学習の機会づくりを計画いたしました。
 そして、規範意識醸成の学習という資料を作成し、夏休み前に県下の全小・中学校の児童・生徒に対しまして、規範意識に関する授業を実施しております。




<質疑>
 今お話にあった規範意識醸成の学習という啓発資料を、私も拝見させていただいたんですけれども、具体的にどのように活用しているのですか。

<答弁> 少年課長
 まず初めに、今回作成しました資料を御説明いたしますが、教師が指導を行う場合の手引きとしまして、教師用の規範意識醸成の学習という指導資料と、また、児童・生徒の理解を深めるための児童・生徒用の啓発チラシの2種類を作成しております。
 そして、具体的な活用でございますが、県、市町村の教育委員会、学校警察連絡協議会及び校長会で協議いたしまして、7月8日から20日までの間に、夏休み前の生活指導の時間、道徳の時間による心の教育、ホームルームの時間などを利用し、ただいま説明いたしました教師用資料と児童・生徒用啓発チラシを活用し、県内の全小学校、中学校が一斉に規範意識に関する授業を行うものでございます。




<質疑>
 今、御説明いただきましたが、地域ですとか学校でありますとか、そういったことに対しての取組というのは何となく見えてくるんですが、先ほど私が申し上げた保護者に、子どもたちを教育指導していく意思もなければ能力もない、そういう例も多く見受けられると思うんです。学校にしても、話をしたい父兄ほど学校へ来ないというようなことで、大変に教育現場もこういった問題に対しては悩んでいる。
 そこに警察がどういうふうにコミットしてくるかということに対してちょっと見えてこないんですけれども、それは、警察としてどのような形が可能なんでしょうか。余り教育現場に警察が口を出すのはもちろんなかなか難しいと思うんですが、親に対して、何らかの警察としてアプローチができるものなのかどうなのかというのをちょっとお聞きしたいんです。

<答弁> 生活安全部長
 まず訓練の実施状況でございますけれども、先ほど申しましたように、横須賀、川崎、それぞれオフサイトセンターがございますので、そこを活用しまして、平成13年度に横須賀市と合同で訓練を実施しております。また、昨年15年度には、川崎市と合同で、川崎市と合同ということは、事業者も含めてという意味合いでございますが、訓練を実施しております。それでまた、横須賀市が毎年、原子力災害の防災訓練を実施しています。ここにも、県としても毎年訓練に参加して、実際の連携を図っているところでございます。
 課題といたしましては、やはり実際に放射線量などのモニタリングをしなければならないというところで、資機材の取り扱い、こういうものはなかなか日常できないわけでございますけれども、実際に訓練でそういうことをやりますと、なかなか1回の訓練では習熟し切れないものであるというような課題がありますので、今後、適時個別の訓練を実施していきたいなと考えております。
 また、より迅速、的確な対処のために、やはり原子力に対する職員の知識というものも必要でございますので、研修会の参加等を通じまして、そういう職員の知識の向上も図っていく必要があろうかと思います。
 成果でございますけれども、実際に訓練をやりまして、情報の受伝達、あるいはオフサイトセンターの初動の立ち上げ、こういうものにつきましては、3回程度やっておりますので、大変手順ができ上がってきたなというように感じております。それとまた、そういう訓練を通しまして関係機関との連携、こういうものも図られてきたのではないかと考えます。




<質疑>
 またこういった機会を少しでも多くつくっていただいて、まずは保護者に対しての指導といいますか、それをしっかりと取り組んでいただきたいと思います。
 また、今日は午前中の説明にも、また先ほど自民党のしきだ委員の質疑の中でも出てまいりましたけれども、県警の組織再編ということで、平成16年秋に少年課が分課するとか今後学校や地域ボランティアとの連携、さらにそういったものも深めていくというお話もありましたが、これまでも例えば県、学校警察連絡協議会というものがあって活動してきたというふうに思うんです。
 今後、これまでとはまた違う、何ができるのかということも含めて、少年犯罪の抑止、また少年健全育成に対する今後の警察の取組についてお考えをいただきたいと思います。

<答弁> 生活安全部長
 今後の取組ということでございますけれども、一番今言った規範意識の問題、あるいは少年の立直り支援の問題、あと居場所づくりの取組、これは警察だけではちょっと困難でございますので、先ほど申し上げましたいろいろな要因があるということを受けまして、まさに家庭、学校、それから地域社会、警察がいろいろな実態を知っていますので、そういったものの関係をより知らせて、緊密な連携ではなくて高度連携の時代ではないかということで、お互いに行動していきたい。そういった形で一つの有機的なそういった関係機関がいっぱいあるわけですので、そういったところが総合的に一体となって取り組める仕組みも必要ではないか、そういうところも警察も実態をアピールしながら取組を促進して働き掛けをしていきたい、関係当局に働き掛けをしていきたいと思います。




<要望>
 緊密な連携というか高度連携ですね。今後関係者との連携をより一層強化していくというお話でしたので、今後またその進展に関しましては、またこういった機会でお尋ねをしていきたいというふう思います。
 最後に要望になりますけれども、長崎の事件、新潟の事件、また先ほど申し上げた東京の事件も含めまして、犯罪を起こしてしまった子供たちは、必ず犯行後悪いことをした、謝りたいというふうに言っているということなんですが、当たり前の話ですが、これは取返しのつかない行為でありまして、何とか事件が発生する前に防止ができなかったのか、悔やまないとならないわけでございます。こうした事件が本県で発生しないように、少年問題に関係する各関係機関がそれぞれの特性を十分に生かしていただいて、互いに連携をして少年犯罪の抑止、また少年の健全育成に努めていただきたいというふう思います。関係機関の一層の御努力を強く要望いたしまして、私の質問を終わります。