5.県営住宅の整備について(1)

<質疑>
 本県の県営住宅は、その約6割が昭和40年代以前に建てられたものであります。そのような団地においては、建物の老朽化に加え少子化・高齢化が急速に進み、団地の活力低下が顕在化しています。

 耐火造の公営住宅の耐用年限は70年と定められており、本来、その2分の1を経過したあたりから、建替えの検討時期となります。しかし、逼迫する財政のなか、それらの住宅を一斉に更新することは到底難しく、県は、ストックの多様な活用、すなわち、建替事業、改善事業、維持保全などの手法を組み合わせることでの、公営住宅の総合的な活用を目的に、「神奈川県公営住宅ストック総合活用計画」を策定し、平成13年度から平成22年度までの具体的な計画を定めております。


 そこで、まず知事にお伺いします。この計画の内容については、前期5ヵ年終了時点、すなわち平成17年度で見直することとされておりますが、平成13年度にスタートしてから15年度までの3年間で、既に計画と現実は大きく乖離しております。
 知事は、このような状況に対して、どのような手を打たれるおつもりなのか、所見をお伺いします。

<答弁>
 「神奈川県公営住宅ストック総合活用計画」に対する実績の乖離について、今後どう取り組んでいくのかというお尋ねでございます。
 この計画は、議員お話しのとおり、これまでに建設した公営住宅が、今後、一斉に更新時期を迎えるという状況を踏まえ、財政負担の平準化という観点も含め、建替事業や改善事業、維持保全などの適切な手法を示し、ストックの効率的かつ的確な活用を図っていくため、平成13年度から10年間の具体的な計画を定めたものであります。
 この計画がスタートしてから、今年度で3年目になりますが、県営住宅に関して申し上げますと、現下の厳しい財政状況などを反映しまして、議員ご指摘のとおり、必ずしも計画通りに進捗していない状況でございます。

 県といたしましては、財政状況をにらみ、県営住宅団地整備の優先度合いや、これまでの経緯等を勘案し、経費の縮減や効率的な事業執行等に引き続き最大限の努力をしながら、居住水準の向上を図るとともに、建物をできる限り長く活用できるよう、ストックの有効活用に努めてまいりたいと考えております。
 しかしながら、現計画の進捗状況や社会経済情勢の動向を見据えますと、前期5ヵ年終了時点である平成17年度には、何らかの見直しが必要であると考えております。
 その場合、県営住宅の適正な維持更新を図っていくという所期の目標達成を目指すことが重要です。したがいまして、建替や全面的改善といった手法ごとの事業量のみにとらわれることなく、段差解消やエレベーター設置といった個別改善項目を柔軟に組み合わせるなど、より実効性のある手立てを広く取り入れることも検討してまいりたい、と考えております。