3.次世代育成支援への取り組みについて(1)

<質疑>
 平成16年度当初予算案を見ますと、施策の3本柱のひとつに「次世代育成」を位置付け、その筆頭に「保育所入所待機児童の解消に向けた取り組みの推進」が掲げられております。
 そのこと自体には私も異存はありませんが、その内容には疑問を感じる点がありますので、質問をさせていただきます。

 福祉部の調査によると、平成15年4月1日現在、県所管域の待機児童の数は674人とのことであり、その解消に向けた取り組みは喫緊の政策課題でありますが、今回の予算案を見ますと、目に見える形で充実強化されたのは認可保育所の整備費補助だけであり、これでは従来の施策の域を出ていないと思うのであります。
 たしかに、認可保育所の新設や定員増を行なえば、その時点で、その地域の待機児童が減りますので、これはこれで重要な取り組みには違いありません。しかし、それだけで良いのでしょうか。新たに保育所が整備されますと、潜在的需要が掘り起こされて、また待機児童が増えるという現象が起こってまいります。
 したがいまして、私は待機児童解消のためには、もともとその地域にある、いわゆる認可”外”保育施設への支援や、幼稚園の預かり保育などを組み合わせた施策が必要不可欠であると思うのであります。
 いわゆる認可外保育施設は、平成14年の児童福祉法の改正により届出制になることで、法的な位置付けが与えられ、県においても「認定保育施設」という制度を創設し、支援を行なっていると承知をしております。しかし、その取り組みは、横浜市や川崎市、そして東京都と比べると、相当な遅れをとっていると言わざるを得ません。
 たとえば、横浜市の平成十六年度当初予算案を見ますと、本県の認定保育施設に相当する「横浜保育室」育成事業に46億5,500万円を計上しております。いっぽう、本県はというと、1億円に満たない金額であります。

 また、いわゆる幼保一元化の推進については、さきの9月定例会でわが党の山田議員が、「本県が率先して取り組んではどうか」と提案しましたが、依然として待機児童解消に向けた施策に位置付けられているのかどうかさえ、定かではありません。私は、多くの幼稚園関係者から、「預かり保育に取り組む意欲はあるが、保育所と比べ県の支援が十分でない」という声を耳にいたします。
 これは、保育所は福祉部、幼稚園は県民部という縦割り行政の弊害もひとつの原因であると思いますが、これについては次の組織問題についての質問で取り上げることといたします。

 さて、待機児童解消に向けた取り組みを見る限り、従来型の施策のみに知事のおっしゃるところの「選択と集中」が行なわれているといわざるを得ません。


 そこで、知事にお伺いいたします。待機児童解消の取り組みを実効あるものとするためには、従来の認可保育所の整備支援だけでなく、認定保育所や幼稚園の預かり保育に対する支援を一層充実・強化してゆく必要があると考えますが、今後、具体的にどう取り組んでいくのかお伺いいたします。

<答弁>
 次世代育成支援について2点のご質問をいただきました。まず、保育所入所待機児童解消に向けた取組みについてのお尋ねであります。

 保育所の入所待機児童の解消については、これまでも、1.社会福祉法人とされてきた認可保育所の設置主体がNPO法人等にも認められたり、建物は賃借でも可能となったことなど規制緩和による新たな整備手法の活用や、2.保育サービスの質の確保に留意しつつ、許可によらない保育施設への支援の強化など、国の動向や市町村の意向を踏まえ、新しい状況にも対応し、積極的に取組みを進めてまいりました。

 そうした中で、平成16年度は、認可保育所につきましては、規制緩和の効果を十分活かして、多様な主体が参加できるよう、現行の国庫補助の対象とならない建物の賃借料や、私立幼稚園の余裕教室を転用する際の改修費などを新たに助成対象としたところであります。
 お尋ねの、認定保育施設への支援につきましても、市町村がその実情に応じて助成のメニューや金額を選択できる、県・市町村強調事業として推進しておりますけれど、新たに、休日保育を補助メニューに加えることといたしました。
 また、幼稚園の預かり保育については、地域のニーズに応じて、引き続き対象園数の拡大を図るとともに、助成対象期間を夏休み等の休業期間にまで拡張するなど、支援の充実を図ることとしております。

 今後とも、待機児童解消に向けては、保育施策に係る市町村の実態や意向を踏まえ、さまざまな主体を活用し、また、手法を工夫しながら、取組みを進めてまいりたいと考えております。