1.地域交通の拡充について(2)

<質疑>
 全国を見ますと、高齢社会や過疎化に対応した地域交通の手段として、市町村がいわゆるコミュニティバスを運行し、成功させている事例があります。また、NPOや地域住民が主体となって運行するバス便も見受けられるようになりました。

 NPOや地域住民がタクシー会社やバス会社に委託して運行するケースがほとんどですが、最近では、すべてを住民の力で賄おうという動きも出てきています。本県でも、いくつかの地域で市町村が主体となったコミュニティバス等があり、さらに地域住民がNPOを立ち上げて、コミュニティバスを運行しようという動きが起こってきています。

 新総合計画(案)には、「〈民との協働〉による地域活力の創造」とあり、戦略プロジェクトでも「コミュニティビジネスに対する創業などの支援」に取り組む、とされています。公営・民営を問わず、多くの路線バス事業者が経営困難に直面しているという厳しい現実もありますが、だからこそ、本格的な高齢社会を迎えるにあたり、地域住民の、地域住民による、地域住民のための地域交通システムが構築できるよう、県は高齢社会に活力を与えうる交通手段の確保について、その具体策を、提示をする責務があると考えるのであります。


 そこで、知事にお伺いします。県では既に「生活交通確保対策地域協議会」や「地域交通研究会」を設置して、地域交通に関する一定の取り組みを行なっていますが、今後、市町村やNPO、地域住民の取り組みをさらに促進するために、県民との協働を視野に入れて、関係部局が連携し、コミュニティバスなど、きめ細かな地域交通の構築について、具体的な検討を進めていく必要があると考えますが、知事の所見をお聞かせください。

<答弁>
 コミュニティバスは、既存のバスサービスではカバーしきれない住民ニーズに対応する、地域密着型の乗合バスであります。

 その特徴としては、通常のバスに比べ、柔軟な運行ダイヤや、低廉な運賃、短い停留所間隔などの工夫がこらされ、また、小型車両を活用することにより、通常のバスでは走行できない場所にまで乗り入れられるなど、乗客へのきめ細かなサービスの提供が可能になります。
 さらに、高齢者や障害者の方々の移動の確保や、マイカーからバスへの転換による環境負荷の軽減などの効果もあり、県内でも横浜市など14団体で導入が図られております。
 しかしながら、コミュニティバスの導入にあたりましては、閑静な住宅地にバスが走ることを心配される住民の方々のご理解を得ることや、運賃をいくらにするかなど、さまざまな課題も指摘されております。

 県といたしましては、今後、市町村がコミュニティバスを活用した、きめ細かな地域交通の取組みを進めるにあたり、県民との協働、NPO法人の活用などの視点も踏まえ、先ほど申し上げました「神奈川地域交通研究会」や、「神奈川県バス活性化委員会」などの場で、議論を深めてまいりたいと考えております。