■財団法人神奈川科学アカデミー(KAST)の研究成果と今後について

<質疑>
 KASTの研究について、その研究の規模・予算・どの様な特色があるのか?

<答弁>
 流動研究事業と光科学重点研究事業の二種類の研究事業を行っており、事業の規模では、他の事業も含め19億600万円の総予算となっております。

 そのうち14億1,000万円が研究事業に使われ、県費からの補助金は10億6,400万円です。
 研究テーマを公募し、45歳以下の研究リーダーによる3年ないし5年といった研究期間を限定し、流動的に研究が行われております。
 また、光学重点研究については、これまでに蓄積した光学関連技術を中心とした研究や、これまでの流動研究を発展させた応用研究というものを実施しております。




<質疑>
 研究成果として特許を取得し、ライセンス契約に至ったものがどれくらいあるのか?
またKASTから立ち上げられたベンチャーの状況はどうか?

<答弁>
 特許の出願はこれまで580件で、このうち112件のライセンス契約が成立しようとしております。契約件数としては、22件のうち、県内企業が16件になります。
 また、ベンチャー企業については7社成立しており、うち4社が県内に籍を置く企業です。




<質疑>
 都市エリア産学官連携促進事業について研究の目的および内容は何か?
 また、その中核を成すKASTの役割と県の試験研究機関との連携について。

<答弁>
 都市エリア産学官連携促進事業では、テーマを光機能材料を用いた都市近郊環境対策技術の開発とし、これまでのKASTの成果を産学官共同で育成をし、湘南・中央エリアを中心に地域社会への還元を促進する事を目的としております。
 もう1点はシックハウス症候群の原因物質を簡単に計測する装置の開発です。

 KASTの役割としては、大学研究者・地域密着型の県の試験研究機関・企業を結びつけるコーディネーターとしての役割です。




<質疑>
 県内産業に貢献できると目されている研究テーマや今後の成果・展開を教えてほしい。

<答弁>
 貢献できるテーマの一つとして、KASTの流動研究の中で東京大学の教授をリーダーとしたマイクロケミストリーというプロジェクトがあります。
 これは、小さなガラス板に実験装置を作り、分析を行えるもので、例えば大腸癌の診断チップというものに応用され、検査時間の短縮に効果を発揮しており、現在では重点研究に引き継がれております。

 成果としては、医療あるいは、様々な検査の分野で非常に拡大すると思われ、期待できるものと考えております。




<質疑>
 KASTの研究成果が県民に知られていないのだがどういう形でPRを考えているのか。

<答弁>
 新聞発表として9件、記事として掲載されたものが約120件ほどあります。
 それだけではなく、KASTの研究成果を発表するために平成15年10月にはジャーナリストミーティング、11月には新技術フェア2003を開催致しました。加えて、県のたよりやトライかながわといった広報メディアも利用しております。
 また、KASTが市町村と連携をして科学技術の普及啓発活動を行う事も考えております。




<要望>
 このようなものは、神奈川県民として誇れる事であると思いますので、大事に育てて頂き、研究成果を積極的に県内の産業につなげて頂きたい。