<海外県政調査の報告>調査の記録

8.ブランド化する農業。(2)

Bio-Gemuese Farm Bärthele
Oberzeller Str. 13, 78479 Reichenau-Insel
Tel:07534/7667 Fax:07534/7858
Joachim Bärthele

シェフの御用達
野菜工場のような温室
 農場を見せてもらう。 広大な温室だ。自己所有の土地に建てたものが、約3,000m²、借地に建てたものが約7,000m²。農場というより、工場である。このほかに2haの畑で露地栽培を行なっている。常時8人が働いているが、2月から8月は20人に増える。
 どこが有機かというと、化学肥料を使わない。牛の糞や落ち葉などで堆肥をつくって肥料にする。また、牛の角を破砕して土に混ぜると、窒素の代わりになるのだそうだ。雑草を除去しなくても済む栽培方法も開発した。

 ちょうど、冬の葉野菜を栽培している時期で、私たちはその野菜の苗を育てるための土を作る場面に遭遇した。北ドイツの泥炭層の土を70%、堆肥を30%の割合で混ぜて、機械でプレスする。すると、10cm角ぐらいの土の塊が大量にできる。そこに種子を植付け、苗を育てるのだ。
サイコロ状の土の塊から芽を出した苗
 この温室では、一年中、収穫がある。もちろん、野菜の種類は季節に合わせているが、寒い時期はガスと石油を燃やして室温を調整している。ライヒェナウの気候は比較的温暖なので、燃料も少なくて済む。ちなみに、ボーデン湖が最後に凍ったのは1963年だそうだ。その冬はものすごい寒波に見舞われたたのだが、それ以降、湖は凍結しなくなったという。これも、地球温暖化の影響なのだろうか。

「土地を貸してくれている友人(彼も農家だ)も、興味を示し始めています。BIOLANDをやっている4軒は、だいたい同世代。島内にも徐々に理解が広がっているのだろうか、従来の方法でやっている農家も様子を見に来ます。実際にやってみて失敗する人もいるし、連盟にはまだ入っていないけれど、有機農法を本格的に始めた人もいる。
温室内の機材
 顧客は、まだ「点」としてだが、北ドイツのブレーメン、スイスのルツェルン、チューリッヒ、オーストリアのインスブルックにまで広がっています。また、少しでも販路を切り開こうと、妻がNaturkost(自然食材)の店を開きました。レストランのシェフも買いに来てくれています」

 これだけ大規模な農場である。湖の対岸に住むスイス人の仲間と共同で経営をしているというが、資金の調達はどうしているのだろう。
「設備に投資した金額は、時期や設備によって違うが、1平方メートルあたり、60〜100ユーロ。BIOLANDは、のれんは貸すが、お金は貸してくれない。農協もだめでした。自己資金として3分の1を用意し、残り3分の2を銀行から借り入れた。借入金については、バーデン・ヴュルテンベルク州が保証をするということで、応援してくれている」