<海外県政調査の報告>調査の記録

7.環境税の大義はどこに。(1)

Südwestdeutschen Verkehrs-Aktiengesellschaft
Rheinstr.8, 77933 Lahr
Tel:07821/270211 Fax:07821/270266
Mr.Hans Joachim Disch

10月20日(水)
ローカル交通会社の憤懣
南西ドイツ交通株式会社
 今や、「環境」は錦の御旗である。これを言われると弱い。自分がいわゆるインテリ層だと思っている人ほど、弱い。そして、なんだか反対しにくい。京都議定書を批准しないアメリカも、環境税構想に反対する日本の財界も、完全に悪役である。
 本日、訪ねるSWEG(Südwestdeutschen Verkehrs-Aktiengesellschaft=南西ドイツ交通株式会社)は、現在、ドイツで施行されている環境税(炭素税)に強く反対を唱えていると聞いた。一体、どういうことか。

 SWEGはバーデン・ヴュルテンベルク州の南部で、路線バスや鉄道による旅客輸送、貨物輸送を行なっている会社である。340台のバス、45両のSバーン用車輌、18台の連結バス、貨物列車を牽引するための5両のディーゼル機関車、1編成のSLを使って、主として州内の近距離輸送を担っている。社員数は約650名で、2003年の売上高は約5800万ユーロだった。

 取締役は4人。そのなかの一人、Disch氏が言う。

環境税の企業への影響について聴取
「2000年に可決、2001年から施行されている環境税だが、今でも反対ということに変わりはありません。当初の目的は、省エネルギーと環境保護の観点から、ガソリンを撒き散らす人に多く税をかけて節約を促そうということでした。燃料に税を上乗せして価格をつり上げれば、自動車の使用を控えるだろうと。乱暴な話です。
 国民の中には電車を使えない人もいれば、自転車に乗れない人もいる。そして、折り悪く原油高だ。私たちは企業努力で、できるだけ運賃に転嫁しないで済むようにやってきたが、もしも、自家用車から電車に乗り換えた人がいれば、それは私たちの企業努力の賜物であって、環境税のせいじゃありません。

環境税に関する聴取が終わった後、バスの車庫と整備工場を見学
 環境税といいながら、これは目的税ではない。一般財源に組み入れられ、年金や医療など社会保障の財源になっているのです。医療保険と年金保険料の負担を下げるために、政府は財源がほしかった。この税金は連立与党の社会民主党と緑の党が、とりわけ緑の党のメンツを立てて創設しました。
 野党のキリスト教民主同盟は反対をしていましたが、今後、仮に今の連立が崩れてキリスト教民主党が政権を取っても、環境税は廃止しないでしょう。

 緑の党は、企業を納得させるために、戻し税を創りました。たしかに、半年毎に税金は戻ってくるが、時期になると、その計算をするために税務官が2人やってきます。会社としても経理の社員を増やさざるを得なかった。なんというムダをしているのかと思います。」