<海外県政調査の報告>調査の記録

4.空気と緑と廃棄物。(2)

Karlsruhe Rathaus
76124 Karlsruhe, Adlerstr.20a
Tel:0721/37205382
Mr.Siegfried KÖnig, Dr.Wolfgang Issel, Mr.Peter Blank

分別がゴミ減量を促進
 ゴミ政策については、Blank氏から、お聞きする。(以下、要約)

Blank氏からゴミ政策について説明を受ける
 カールスルーエも以前は危機的な状況だった。1987年に市内から出たゴミの量は、32万トン。カールスルーエ城とほぼ同じ、底辺の1辺が145mの四角錐(ピラミッド)をゴミで造ったとすると、高さは47m。お城がすっぽり隠れてしまう高さである。
 それが、2004年には10.5万トンにまで減少した。3分の1だ。ピラミッドを造っても、その高さは15mに抑えられている。
 ごみ減量のコンセプトは、[1]避ける(ゴミになるものは使わない)[2]分ける(資源になるもの、再利用できるもの、捨てざるを得ないものに分別)[3]リサイクル(徹底した再利用)

1987年まで
すべてのゴミを一括して収集していた。
1988年
紙・ダンボール・金属など、再利用できるもののボックスを追加した。
1997年
残飯、野菜くず、果物の皮、花、カビの生えたパン、ティーバッグ、コーヒーフィルターなど、バイオゴミのボックスを追加。
 ゴミの減量には、1993年に施行されたリサイクル法が功を奏した。これからの課題は 75,000トンにもおよぶ家庭ゴミだ。

スクリーンに映し出されたゴミのピラミッド
 そのほか、ペイントやオイルなどの有害物質は、別途、専用トラックで収集しているほか、使わなくなった洗濯機、冷蔵庫などの家電製品は1年に2回、無料で収集している。家電製品については、郊外の廃棄場で常時、持ち込み受け付けているが、この場合は自分で運搬しなくてはならない。
 カールスルーエは樹木の多い町だが、枝・葉などのゴミについては、市内各所に設置されたコンポストで受け入れている。それだけで、年間10万m²になる。
 そうした、ゴミの処理にかかわるコストは、市民が料金として負担している。5人家族の家庭で年間300ユーロというのが一般的な目安。料金は設置するゴミのポストの数によって変わってくる。ただし、学生や高齢者住宅などには減額措置がある。

 最終処分場では、発生するメタンガスのほか木材(倒木や枕木など)を燃やし、その冷却水蒸気を使ってタービンを回して発電を行なっている。1時間に400kwが作り出される電気は、電力会社に売却され、同時に発生する70°C〜90°Cの熱(最大1200kw/h)は1km離れた住宅地に送られ、1,200人分の暖房に利用されている。

 ゴミはすべて市内で処理され、そのためのプラントその他も、市の財政でまかなっている。市の場合は独自で、町や村は郡単位で処理をしている。
 50年かけてゴミを集積させてきた最終処分場も、使用期限が2005年5月31日に迫っている。その後は、約2mの高さで土を被せ、木を植える。安全な状態になったら、マウンテンバイクやそり遊びもできるグラウンドとして市民に提供したい。広さが約20万m²もあるので、使いではあると思う。