<海外県政調査の報告>調査の記録

2.泊りがけで行く、近くの田舎。(3)

TouristikService Odenwald-Bergstraße
Marktplatz 1, 64711 Erbach
Tel:0049 6062 943331 / Fax:943333
Mr.Horst Schnur  Ms.Hanne Holuscha

求められるサービスとは
Hanneさんの話を聞きながら思った。
オーデンヴァルトは「かっこいい田舎」なんだ
 農家や、農家は廃業したが一定種類の動物を飼育するなど条件を満たしてペンションなどにしている所への滞在を含めて、ここではファームステイと呼ぶ。
 ファームステイで重要なのは、あくまで都会の人々が農村に対して持っているプラスのイメージに合わせた演出をすることである。ハイジの世界を思い描いている人の脳裏に、汚物の掃除はないと考えなければいけない。臭いをどの程度、遠ざけるか。朝のニワトリの鳴き声は、どれぐらいの大きさで聞こえることが望ましいか。

 ファームステイを提供する際の、最低限の条件を挙げてもらった。
1.清潔、衛生的であること
2.ホテルと比べて安いこと。サービス内容と比べ安いこと
3.十分な空間があること
4.雰囲気があること

 農作業の手伝いについては、子どもは朝一番からでも喜んで参加することが多いらしい。そのあいだ、親はゆっくり寝ていられる。また、朝食に下りていくときでも、ホテルのようにメイクをする必要がないのも、ファームステイの気楽なところだ。
 最近では、利用者の要求に合わせて、サービスの質も変わってきた。
 家具の質が問われ、テレビやラジオも備え付けるようになった。以前は、せっけんやタオルまで利用者が持参していたが、今ではミニバーを備えるところまで出てきた。都会人が、長い滞在に飽きないように、さまざまな情報も提供しなければならない。フィットネスやエステティックを提供するスパやサロン、近くの町で行なわれる演劇や音楽の公演、手頃で良質なレストラン、ショッピングに関する情報は特に重要だ。乳搾りも体験したいが、夜はミシュランの星のついたレストランで食事もしたいのだ。

「しかし」と、Hanneさんは続ける。「本質は、何も変わってないのです」。
「自然、時間、やすらぎ、それに原初との触れあい。ドイツ人は日本人やフランス人のように農耕民族ではありません。狩猟民族です。畑にいたのでは落ち着かない(笑)。そして、平地にも営々とブナを植え続ける、根っからの『森の民』なのです。オーデンヴァルトでは、それを実感できます。そして、村の中心に象徴的な菩提樹があり、泉がある。そんな、ふるさとの情景もオーデンヴァルトの価値のひとつです」

 長年、観光局の仕事に携わってきたHanneさんは、農家民宿などの施設を指導する資格を持っている。

「講習会への出席率が高い所ほど、繁昌している。これからは、ファームステイでこれが得られる、こんなことにコンタクトできるということを、農家側にもっと啓蒙しなければなりません。農家同士が連携して、情報を交換したり、共同での顧客サービスを試みたりすることも大切です」

 たとえば、ドイツでは焚き火は禁止されているが、共同でやれば、消防署の協力のもと、実現できるらしい。