【公明党 神奈川県議会インフォメーション】
2009年 主な条例の審議状況について
問題の多い条例は、簡単には通せない。
 県民生活に大きな影響を及ぼす条例の新設や改正については、慎重かつ活発な議論を展開。常に重要議案の審議をリードしてきました。

■在宅重度障害者等手当支給条例改正案が公明党の修正案を採用し成立。

公明党県議団は、6月定例会の代表質問および厚生常任委員会において、在宅重度障がい者等に対する手当を縮減しようとするのであれば、現金給付に代わる施策の実現を担保することが不可欠であると訴えました。
 県はこの制度ができて40年が経過し、地域における障がい者支援の仕組みが整ってきたという理由から、支給対象者と総支給額を大幅に減らす条例改正を提案。約13万人に総額約44億円(07年度実績)が支給されていた手当ですが、改正後は重い障がいを重複して持つ方等に支給対象を限定するため、対象者は約8千人、支給総額は約4億8千万円に激減する見込みです(県による試算)。
 見直しで生じた財源について、県は地域生活支援策に活用するとしており、具体的には
 (1)障がい者グループホーム・ケアホームの設置促進
 (2)障がい者の医療環境の充実
 (3)障がい者の移動支援の充実
などに取り組むとしています。
 本件については、これまでも支給が打ち切られる障がい者や、その家族の理解が得られるか等の議論がありました。同様の手当をめぐっては、横浜市が2月に全廃を決定。川崎市も学識者らで構成する専門部会で制度の在り方を検討するなど、見直しの動きが進んでいるところです。
 議案が提出された2月定例会では、当初、付帯意見を添えて可決される見通しでしたが、「経済危機の中、障がい者の生活を考える上で、手当削減で生み出される財源をどう使うかは大変重要。議論を深めることが大切」との我が会派の声が重んじられ、全会一致で継続審査となっていました。
 6月定例会では、地域生活支援のための推進プログラム等も示されましたが、事業の実施年度や予算等に不確定な部分が多かったため、公明党の厚生常任委員が修正案を提案しました。
 我が会派の修正案は、2月定例会で県が示した平成22年度1年間の激変緩和期間を23年度まで延長し、約12万人が支給打ち切りになる時期をさらに1年遅らせるというもの。その理由として、「(削減で生まれる財源で代替的に県が行う)さまざまな施策をより明確にするための時間を確保することにより、少しでも障がい者の不安を軽減できるのではと、1年の延長を図った」と説明。
 自民党、民主党・かながわクラブ、公明党、県政会、大志・未来の5会派は、「改正が障害者福祉の後退につながることなく障害者の地域生活の向上に資するよう、(代替的)施策の速やかな具体化に向け特段の努力を払うこと」との意見を付け、修正案および修正部分を除く原案に賛成し、条例の改正がなされました。


■犯罪被害者等支援条例は論議を深めて成立させました。
 犯罪被害者等支援条例は、犯罪被害者等の経済的負担の軽減や一時的な住居の提供、精神的ケアなど、突然破壊された被害者や遺族の日常生活を少しでも回復させようとの目的で、行政、警察、民間支援団体が一体となった仕組みを築き上げるべく審議して参りました。
 しかし、議会に上程された昨年の12月定例会の段階では「国法との重複であり、屋上屋を架す恐れはないのか」「条例がなければ何ができなくて、あれば何ができるかが不明確」「市町村への働きかけがない。誰のための条例なのか」などの指摘があり、継続審査になっていました。しかし、今回は、公明党が強く求めていた新たな支援推進計画案や市町村との協議など実施。2月定例会で可決しました。
 公明党県議団は実効性ある条例制定に向け、終始議論をリードしてまいりました。「(県民受けするネーミングの条例なら)何でも賛成」という議会では困ります。議案に対する慎重審査は議員に与えられた最重要の使命。条例案については特に、その必要性、実効性について議論を尽くしていきたいと思います。

■公共的施設における受動喫煙防止条例は大幅修正。
 本条例については、対象施設の区分のあり方や小規模施設の分煙設備導入負担など、様々な課題を徹底審議。当初の全面禁煙からは大幅修正しましたが、全国で初めての民間施設も規制対象にする条例として、2月定例会にて議会側が出した修正案を可決、成立しました。
 可決された案では、学校や病院など公共性の高い施設については、平成22年4月1日から室内空間は「禁煙」となり、違反者には罰則(過料)が科せられます。但し、施設内に喫煙所を設けることは認められています。
 大規模なホテルや旅館、100平方メートルを超える飲食店などは「禁煙か分煙かを選べる施設」とし、違反者に科す罰則を施行から1年後の平成23年4月1日から適用。100平方メートル以下の飲食店や風営法対象施設と、床面積の合計が700平方メートル以下の宿泊施設は禁煙もしくは分煙について努力義務としました。

■温暖化防止条例は計画案が出てきて成立。
 松沢知事が「神奈川らしい先進的条例」として成立を目指した地球温暖化防止推進条例ですが、国よりも厳しい内容を盛り込んだだけでは「先進的」とは言えません。我が会派も、県内の企業・事業所がもつ省エネ・エコ技術のポテンシャルを引き出すために、県として積極的にインセンティブを検討すべしと主張してきました。
 また、条例に基づく対策計画は大変重要であるにもかかわらず、議決の対象になっていないため、たとえば条例案の第2項第2号に記載される目標等については、後から議会抜きで決めることができ、それでは何のためにここまで時間をかけて審議してきたのか分からなくなります。というわけで、2月定例会から継続審議となっていた本条例案ですが、質疑の中で計画案の提出が約束されましたので、今後この計画案についてしっかりとした審議をすることを前提に、神奈川県地球温暖化対策推進条例については可決となりました。