… がんばろう、足柄茶(5)…
        静岡と神奈川。同床異夢?
(6月4日)
 川勝平太静岡県知事は3日、今後収穫が本格化する「二番茶」について、政府方針に従い「荒茶」も放射性物質検査の対象とする考えを示し、これまでの反対姿勢を一変させたと新聞が伝えています。ただ、出荷がほぼ終わっていて荒茶の検査が困難な「一番茶」は完成品である「製茶」を検査するんですと。
 神奈川県の場合、生茶葉段階で基準値を下回った県内10市町が「一番茶」の再出荷を控えていて、それらの生茶葉が放射性物質が濃縮される「荒茶」になれば、それらもほぼすべて出荷制限となる恐れがあります。そこが静岡とは違うところ。
 神奈川県は、「国から基準値の科学的根拠が示されないかぎり、荒茶の検査を実施しない」方針ですが、静岡県は、検査をするとした上で「国の決定過程や科学的根拠が明らかでないことから国に公開質問状を出す」そうです。なんでも、関係者らとの協議で「静岡だけ検査しないのは、消費者の理解が得られない」という声が寄せられたのだとか。お隣同士でありながら、案外、連携できないものなのですね。

※「基準値」と「規制値」について、私は基本的に「基準値」を用いておりますが、行政やメディアの発信内容に合わせて「規制値」としている場合もあります。意味は同じです。

 … がんばろう、足柄茶(4)…
          また蓮舫サンか。
(6月4日)
 蓮舫消費者・食品安全担当相は3日の記者会見で、「荒茶」を検査の対象としたことについて「ふりかけなどでそのまま食べるものも販売している。安全安心のためモニタリングが重要だ」と述べ、関係者の理解を求めたという。だとすれば、検査対象は「荒茶」ではなく「製茶」でしょう。政府が風評被害拡大のお先棒を担いではいけない。鹿野農水大臣、しっかり教育してください。

 … がんばろう、足柄茶(3)…
        県の支援策が決まりました。
(6月3日)
 放射性セシウムの検出で、収入の大半を占める一番茶を出荷できなくなった足柄茶の生産農家に対し、県が無利子・無担保で「つなぎ融資」を行うことになりました(3日の記者発表)。私たち公明党県議団は、かねてより東京電力からの損害賠償が支払われるまでの間、県がその金額を肩代わりすべきということを申し入れており、今回はそれが事実上、実現したことになります。
 融資限度額は1,000万円。償還期間は5年間(据置1年)です。今、申し込めば、一番茶の販売収入が農家に振り込まれるはずだった6月下旬に融資が実行されるようです。
 心配なのは、東電の損害賠償が大きく遅れたり、金額が請求額より減らされたりした場合に、今回の措置で十分なのかということ。また、一番茶の被害は生産者レベルで1億数千万円ということですが、二番茶以降も出荷自粛ということになれば被害額は当然、増えていくでしょう。
 被害実態と県の支援策が乖離しないよう、しっかり注視していかなくてはならないと考えています。

 … がんばろう、足柄茶(2)…
        荒茶の検査は本当に必要か。
(6月2日)
 お茶を生産する自治体や農林水産省が反対していたにもかかわらず、政府は1日、生茶葉を蒸して乾燥させた半製品である「荒茶」も放射性物質の検査対象とし、生茶葉と同じ暫定規制値(1キログラム当たり500ベクレル)を超えた場合は出荷制限の対象とすることを決めました。
 お茶の葉に含まれるセシウムは、生茶葉から荒茶に加工する過程で水分が飛んで重量が4分の1ほどに減る分、濃度が5倍になります。足柄茶も一部の荒茶から3000ベクレルという数値が出ましたが、お湯を注いで抽出する段階では50分の1に薄まるので、飲料の暫定規制値である1リットル当たり200ベクレルは十分にクリアできるといいます。
 荒茶にも500ベクレルという規制値を当てはめたら、県内産の一番茶はほぼすべてが規制値を超えてしまうとの見方もあります。
 政府は「飲料として安全でも、消費者の不安解消が難しい」として、荒茶にも規制値を適用することにしたのだそうです。これって、政府自らが風評被害を肯定しているというか、風評被害に白旗を揚げているのと同じことではないだろうか。

神奈川県の声は黙殺された「荒茶の放射性物質汚染の暫定規制値に伴う要望書」

 … がんばろう、足柄茶(1)…
        黒岩知事に緊急要望を提出。
(5月19日)
 私たち公明党県議団は、足柄茶から暫定基準値を超える放射性セシウムが検出された事態を受けて、5月17日、足柄上地域県政総合センターならびに生産者側(山北町の県農協茶業センター、同町の荒茶工場、南足柄市の生産農家)への調査を行いました。
 現場は悔しさに満ち溢れていました。せっかくの新茶の時期に「22年度産」と去年のものであることを示すシールを貼って販売しなければならない悔しさ。東名高速のパーキングエリアでは、新茶でもない缶入りの足柄茶まで売り場から撤去されていました。生産農家の方の、「せめて一番茶摘み取りの前に(出荷自粛を)言われれば、無駄な手間をかけることもなかった」という言葉ににじむ、やるせなさと怒り。
 私たちは、足柄茶とその生産者を守るため、緊急に取り組むべき5項目を要望にまとめ、5月19日、知事に提出しました。
 知事よりも早く現地視察を行い、どの党よりも早く知事に申入れを行ったということで新聞記事にもなりました。

平成23年5月20日(金) 神奈川新聞、読売新聞、朝日新聞