民主党は、昨年の衆院選マニフェストで「天下り根絶」を掲げ、定年退職前の“肩たたき”(早期退職勧奨)の禁止を明記していました。ところが……。
政府が示した改正案では「早期勧奨退職の禁止」が外されていました。天下り先を確保した上で定年前に退職する、この仕組みこそ、天下りの温床となるのです。
また、民主党は「国家公務員の総人件費2割削減」も声高に訴えていましたが、それも示されず、総務省からは、総人件費の削減どころか逆に2割増加する見通しが語られる始末です。
なにより、政府案の欠陥は、公務員制度改革の全体像が欠落していることです。閣僚答弁によると、来年度の通常国会にすべて提出とのことですが、ならば、なぜ生煮えの法案をこのタイミングで強行する必要があったのか。
内閣官房に内閣人事局を設け、幹部官僚人事を首相官邸に一元化するとも言っていますが、600人からの幹部職員の適正な見極めを、政治家がどこまでできるのか。情実人事、恣意的な人事を排除する取り組みは、全く見えてきません。
政府案に対し、自民党、みんなの党が対案を出しましたが、公明党は、この野党案も天下り根絶の実効性に乏しいとして、最も厳しい内容の修正案を提出。内閣委員会でその趣旨説明を行なった矢先に、あの三宅雪子議員の転倒騒ぎで注目を浴びた強行採決です。その強引さが、かえって“骨抜き法案”を印象付ける結果となりました。
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