中田市長、やめてみるのも手ですよ。

(2006年1月)
 いえいえ、市長職の話ではありません。
 きのう、横浜アリーナで行なわれた横浜市主催の成人式に出席しました。
 巨大な会場は、式典が終わるまで一瞬たりとも静まり返ることはありませんでした。
 国歌独唱のときも、市長や市議会議長(午後の回は副議長)のスピーチのときも、元サッカー日本代表の井原正巳選手が話をしている間も、旅客機の機内にこもるノイズのようなざわめきが、会場全体に充満しています。
 横浜市では「成人の日」記念行事あり方検討委員会という機関があり、平成16年9月、式典のあり方について「提言」をしています。
 そこでは、年々、本来の「成人式」の意義が薄れていることから、もっと小単位での開催が理想としながらも、会場や警備の都合上、横浜アリーナでの開催が現実的であると、結論づけています。
 市長の話を短くしたり、出席議員の紹介を取りやめたりと、ある意味で若者におもねってみてはいますが、それで式典が引き締まるはずもありません。
 「あり方検」の調査でも明らかなように、成人の「成人の日」に対する意識がバラバラという状況のなかで、一万人以上も集めて式典を行なうこと自体に無理がきているのだと思います。
 コンサートのような一体感を求めるつもりなど、さらさらありませんが、ステージ上の主催者やゲストと、一万人以上もの参加者の間に、さらにいえば、その参加者の中にさえ連帯感がほとんど生まれないまま、たかだか40分とはいえ時空を共有せざるをえない光景は、もはやグロテスクといっても言い過ぎではありません。
 テレビ等で報じられた那覇市や盛岡市のような「荒れる成人式」と比べればマシ、という声も聞こえてきますが、そんなレベルの低い話をしても、しかたありません。
 「提言」では、区ごとに開催しても、8万人から30万人という人口を擁しているので「顔の見える」式典とはならず、また、各区の公会堂の定員は500〜600人前後のため、新成人を収容しきれないとしています。
 「区」が自立したいっぱしの自治体であれば、公会堂の2倍以上のホールも持てるのでしょうが……。
 もうひとつ、「提言」では中学校区単位での開催にも言及しています。
 市内145会場にも及ぶため、スタッフの手当てや警備に関する問題が生じるとしていますが、私は一考に値する案だと思います。
 「提言」の中には「記念式典を行政が主催することへの意義」についても検討をしたとありましたが、成人式はなにも行政機関が主催しなければならない、ということもないでしょう。
 成人式の本来のかたちについて、私はよく知りません。
 しかし、家族や親族、地域の方々など、「縁者」によって祝ってもらい、そこで大人としての自覚を新たにする、というのが原点のような気がします。
 地区センターや学校の体育館でやっても、若者は集まらない、かもしれません。それならそれで、いいじゃないですか。
 式は式として意義を追求し、はしゃぎたいのであれば、どこでも好きなところに繰り出しゃいいんです。
 今の「成人の日」記念行事は、クリスチャンでもない人々が、クリスマスに集まって、パーティのためのパーティをやるのと似ています。
 そろそろ考え直すときかもしれませんよ、中田市長。
 あ、それから。
 出席議員の紹介についてはアンケートの結果、多くの人が「不要」と答えたため廃止したとのことですが、選挙管理委員会は、それでよいのですか。
 ひとりひとり名前を呼んで、いちいち手なんか振らせているから時間ばかりかかるのであって、区と氏名を全員まとめて読み上げて、これも全員で起立!回れ右!礼!でやれば、半分くらいの時間で済むのではないでしょうか。
 「自分の区の議員も来ているんだ」と思ってくれるだけでも、選挙に対する意識が違ってくるとおもいます。